ホクロとは
ホクロは、メラノサイトと呼ばれるメラニン色素が作られる色素細胞が変性することで発生した細胞の塊のことを言います。ホクロの多くは良性腫瘍でもありますので、放置でもとくに問題はないのですが、見た目が皮膚がんの一種でもある悪性黒色腫(メラノーマ)に似ているので、鑑別が必要となることもあります。その場合は、ダーモスコピーや病理検査(疑わしい組織を一部採取して顕微鏡で調べる)をして診断をつけるようにします。
その結果、良性であったとしても見た目などが気になって、良性であっても切除したいと訴える方も少なくありません。ただその場合は、美容的な面からの切除ということになりますので、保険適用外による治療となります。なお単なるホクロであっても切除をする際に保険が適用されることもあります。しかしこの場合は、髭を剃る際にホクロが引っかかるなど日常生活に支障をきたしているなど条件は、かなり限定されます。詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。
治療について
ホクロの治療というのは、外科的治療による切除ということになります。この場合、レーザー治療か、メスを用いた切除になります。
レーザー治療というのは、炭酸ガスレーザーによる除去になります。この場合、レーザーの熱によって、ホクロを焼灼して取り除くことになります。施術の際は局所麻酔を行うなどして痛みを軽減させていきます。レーザーなので短時間(10分程度)で終了します。施術後は、特殊なテープを貼付しますが、その上からメイクをすることも可能です。
ホクロを除去するもう一つの方法は、メスによる切除、いわゆる執刀になります。施術前に局所麻酔をし、痛みを抑えていきます。切除後は線状に縫合して終了となります(切除縫合法)。この治療法は、大きなホクロ(5mm以上)を切除したいという場合に用いられます。なお顔面であれば1週間程度の期間を経て抜糸となります。
スキンタグとは
主に首回りも発生するイボのことで、機械的な摩擦、紫外線を浴び続けるなどして発症すると言われています。皮膚の老化現象のひとつで、首以外にも腋の下や股といった摩擦したすい部位でも起きることはありますが、良性腫瘍の一種です。痛みやかゆみといった症状は、ほぼみられません。ただ衣服などの摩擦によって、こすれやすい場合などは炎症を起こすことがあります。
スキンタグの見た目ですが、皮膚から飛び出て、鶏のとさかのような突起したイボが見られます。
治療について
基本的に良性の腫瘍なので放置でも重要な問題が生じるということはありません。そのため見た目が気になる場合に切除することが多いです。治療法としては、液体窒素による凍結療法(週1回程度の通院で、何度が通う必要があります)か、レーザー治療(炭酸ガスレーザー)による切除ということになります。
稗粒腫とは
直径にして1~2mmくらいの小さく硬めの白いブツブツ(丘疹)が、主に目の周囲で見受けられるようになります。また、痛みやかゆみといった自覚症状は、ほぼ現れることはりません。原発性として発生するのは乳児の頃で、この場合は自然に消失することもあります。また成人になってから発症することもありますが、この場合は、外傷、やけどなどがきっかけとなります。ただ、放置のままでも自然に消えるということはありません。
治療について
この場合の治療は外科的治療となります。稗粒腫の部分に注射針で小さな穴を開け、ピンセットで内容物(角質の塊)を押し出し、除去していくという方法になります。施術中に強い痛みを感じることはありませんが、脾粒腫の数が多数ある場合は、麻酔テープを貼った後に行うということもあります。
軟性線維腫とは
頸部をはじめ、腋窩、鼠径部といった比較的柔らかい皮膚の部位で発生する直径1cm程度の半ドーム状~有茎の腫瘍を言います。色は淡褐色や肌色です。痛みやかゆみといった症状はありません。
良性の皮膚腫瘍なので経過観察でもかまいませんが、衣類に擦れるなどして炎症が起きることもあります。また加齢と共に大きくなるのも特徴で、だんだん目立つようになります。なお発症の原因は、老化、肥満、物理的刺激などが挙げられますが、現時点では特定できていません。
治療が必要と判断されると、液体窒素による凍結療法をはじめ、物理的に軟性線維腫を切除する外科的治療、炭酸ガスレーザーによって細胞を破壊して切除するといったことを行っていきます。
皮膚線維腫とは
腕や大腿などの皮膚に発生する数mm~2cm程度の繊維組織やコラーゲンが増殖してできた良性の腫瘍です。色は淡褐色や肌色です。痛みやかゆみといった症状はありませんが、患部をつまんだり圧迫したりすると痛みを伴う場合があります。
腫瘍の数は1つだけの場合がほとんどですが、多発する場合もあります。
これも良性の皮膚腫瘍なので経過観察でもかまいませんが、衣類に擦れるなどして炎症が起きることもあります。発症の原因は、虫刺されや小さな傷、遺伝などが関係するとされておりますが、現時点では特定できていません。
治療を行う際には、物理的に軟性線維腫を切除する外科的治療を行います。
炎症性粉瘤とは
皮下に発生した袋状の構造物の中に皮脂や角質などが入り込み、それによって半球状の腫瘤が形成されている状態を粉瘤と言います。これは良性の腫瘍で、直径にして1~2cm程度のものが多いですが、10cm程度まで大きくなることもあります。このほか、粉瘤の真ん中に黒い点がみられるのも特徴です。発症しやすい部位は、顔、首、耳の後ろ、背中などです。
この粉瘤の発生によって、何らかの自覚症状が起きるということはありませんが、指で強く押すなどすると強烈な臭いを放つドロドロした粥状の物質がみられるようになります。また自潰などして、粉瘤に発赤や腫れがみられると炎症性粉瘤と診断されますが、この場合は痛み(圧痛)などの自覚症状もみられます。
治療について
炎症性粉瘤の場合、腫れの程度がひどく、膿も溜まっているのであれば、切開して排膿します。また感染によって、腫れるなどしているのであれば、抗菌薬を使用していきます。
なお粉瘤は良性腫瘤なので放置でも問題ありませんが、自然と治癒することもありません。そのため同じ部位ばかりに炎症や化膿がみられる、粉瘤がだんだん大きくなってきたという場合は、外科的治療による切除しかありません。この場合、袋状の構造物ごと除去するなどの手術療法を行っていきます。
皮膚生検とは
がんなどの病変が疑われる皮膚組織(一部もしくは全部)を採取して、顕微鏡検査で詳細を調べ、確定診断をつける検査のことを病理検査と言います。狭義の意味においては、病理検査で必要とされる組織を採取するまでを皮膚生検と言うこともありますが、確定診断をつけるところまでを皮膚生検と言う場合もあります。