血管炎(けっかんえん)は、血管の壁に炎症が生じる疾患の総称です。この炎症により血管が狭くなったり閉塞したりすることで、血流が障害され、さまざまな臓器や組織に影響を及ぼします。血管炎は、血管のサイズ(大・中・小)や原因によって分類され、多くの種類があります。代表的なものには、巨細胞性動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、ベーチェット病などがあります。
●症状
症状は血管炎が影響する部位や臓器によって異なりますが、一般的には発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状が見られます。さらに、皮膚の紅斑や紫斑(血管が破れて出血することによるもの)、関節痛、筋肉痛、臓器の機能障害(腎不全、肺の障害など)が現れることがあります。頭痛や視力低下がみられる場合もあります。
●原因
血管炎の原因は、自己免疫反応が主なものです。免疫システムが誤って血管の壁を攻撃し、炎症を引き起こします。一部の血管炎は感染症や薬剤、悪性腫瘍が誘因となることもありますが、多くは原因不明です。
●治療と予後
治療は血管炎の種類や重症度に応じて異なりますが、一般的にはステロイド薬や免疫抑制薬を使用して炎症を抑えます。重症の場合は、生物学的製剤が用いられることもあります。治療により症状が改善することが多いですが、再発することもあるため定期的な経過観察が必要です。
血管炎は早期診断と治療が予後を大きく左右するため、症状が疑われる場合は速やかに専門医を受診しましょう。