神経繊維腫(しんけいせんいしゅ)は、神経を構成する細胞が異常増殖することで生じる良性の腫瘍です。皮膚や体内の神経に発生し、単独で現れる場合と、全身に多数できる場合があります。後者は遺伝性疾患である神経線維腫症(1型、NF1)に関連しており、遺伝子の変異が原因です。
●症状
神経繊維腫は、皮膚表面やその下に軟らかいしこりとして現れるのが特徴です。多くの場合、痛みはありませんが、腫瘍が大きくなると神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こすことがあります。また、NF1ではカフェオレ斑(茶色の斑点)や軟部腫瘍、骨の異常がみられることもあります。腫瘍の場所や数、影響する神経の種類により症状はさまざまです。
●原因
単発性の神経繊維腫は、明確な原因が特定されていない場合が多いですが、NF1は遺伝性疾患であり、常染色体優性遺伝の形式をとります。NF1は新生児約3,000人に1人の割合で発症します。
●治療と予後
良性腫瘍のため、治療が必要ない場合もありますが、腫瘍が大きくなり痛みや機能障害を引き起こす場合は手術で切除します。NF1関連の場合は、定期的な医療管理が推奨されます。一部のケースでは、腫瘍が悪性化するリスクがあるため注意が必要です。
神経繊維腫が疑われる場合は早めに専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。