ニキビとは
医学用語では尋常性挫創という皮膚疾患になります。これは脂腺性毛包と呼ばれる毛穴で発生する慢性の炎症疾患になります。脂腺は、思春期から成人にかけて大きく発達し、その際に皮脂が多く分泌するなどして、毛穴(脂腺性毛包)を塞ぐようになって面皰(めんぽう)を形成していきます。するとこの面皰を栄養源にして、皮膚の常在菌でもあるアクネ桿菌が増殖し、炎症が発症するようになります。ちなみにニキビが発症しやすい部位は、脂腺性毛包が集中しているとされる、顔、胸、背中です。また思春期を過ぎた後も、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスが乱れるといったことでニキビが発生することもあります。これはいわゆる大人のニキビと呼ばれるものです。
なお面皰があっても炎症が起きていない状態を白ニキビや黒ニキビ(白ニキビの毛穴が開いている状態)と言い、炎症を起こしている状態を赤ニキビ、これがさらに悪化し膿の塊もみられている状態を黄ニキビと呼ぶこともあります。ちなみに黄ニキビの状態で、適切な治療をしないと炎症が治まった後にクレーターのような凸凹した痕が残るようになります。これを瘢痕と言いますが、このような状態になると治していくことが困難となりますので要注意です。
治療についてですが、炎症(赤ニキビ)や膿(黄ニキビ)がある場合は、抗菌薬の外用薬を使用していきます。症状がひどい場合は、抗菌薬の内服薬を用いるようにします。また発症しないための予防対策も大事で、普段から規則正しい生活に努める、1日2回程度の洗顔をする(過度にはしない)などのケアも怠らないようにしてください。
じんましんとは
じんましんは何の前触れもなく、肌の一部が突然赤く腫れあがります(形状は、円形、楕円形、地図状など様々、かゆみの症状もみられる)が、発症から24時間以内に何事もなかったかのように消失するのが特徴です。頭頂部からつま先まで、どの部位でも発症する可能性はあります。
原因については、アレルギー(食物、薬剤 など)、日光や発汗、温熱などをきっかけに発症するなど特定できることもあります(刺激誘発型じんましん)が、全じんましん患者様の7割程度の方は原因不明とされる特発性じんましんです。ちなみにじんましんと単に呼ぶ場合、特発性じんましんのみを意味していることもあります。また特発性じんましんは急性と慢性に分けられ、急性は発症から6週間以内で症状が治まる場合で、慢性は6週間以上じんましんの発症が続いている場合を言います。
治療に関してですが、まずアレルギーテストなどをして、じんましんの原因を特定させます。原因が判明した場合(刺激誘発型じんましん)は、原因とされるものの除去や回避のための環境整備をしていきます。また特発性じんましんの患者様は、抗ヒスタミン薬の内服薬を用います(刺激誘発型じんましんの患者様は、症状が出たときに使用)。抗ヒスタミン薬で効果がないという場合は、ステロイド内服薬や免疫抑制薬などが使われます。
円形脱毛症とは
毛器官の疾患(AGA、抜毛症 など)のひとつで、何の前触れもなく境界がはっきりした円形(コイン状)の脱毛斑が現れる状態を円形脱毛症と言います。脱毛斑の数については単発もあれば、多発することもあります。大きさについては様々です。このほか、全ての頭髪が抜ける(前頭脱毛症)、頭髪だけでなく全身の毛が抜ける(汎発性脱毛症)、側頭部から後頭部にかけて帯状に脱毛する蛇行性脱毛症も円形脱毛症の種類になります。
発症の原因については、自己免疫疾患やストレスが関係しているのではないかと言われていますが、完全には解明されていません。
治療に関してですが、単発型や脱毛斑が2、3ヵ所程度で範囲が狭い場合は自然と治癒するのを待ちます(2~3ヵ月程度)。なお脱毛範囲が広い場合に治療をすることになりますが、その際はステロイド、ミノキシジル、カルプロニウム塩化物などの外用薬を使用していきます。上記の治療では改善が難しいという場合は、ステロイドの局所注射、光線療法(PUVA)、内服薬(ステロイド、免疫抑制薬 等)などを用いることもあります。
白斑とは
表皮の中に含まれるメラニン顆粒は皮膚の一番底にあるメラノサイトという細胞でつくられます。ところが、この細胞が何らかの理由でうまく機能しなくなると、メラニンの産生が極度に低下あるいは消失し、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまいます。このような状態が尋常性白斑です。日本人の罹患率は1~2%程度であり、特に20代の発症が多いと言われていますが、実際には各年代で見られます。原因は、はっきりとは解明されていませんが、自己免疫によってメラニンが破壊されるために発症すると考える説などがあります。
治療に関してですが、ステロイド薬やビタミンD3製剤、タクロリムスの外用療法、紫外線療法などを組み合わせて治療します。
アトピー性皮膚炎とは
強いかゆみが伴う湿疹(ジュクジュク、カサカサ など)が体中にみられる皮膚疾患になります。早ければ生後2ヵ月程度で発症し、顔や首、肘や膝の屈曲部などに左右対称で症状がみられるようになります。これが良くなったり悪くなったりを繰り返し、慢性的に経過するというのが特徴です。なお、あまりのかゆみに耐えきれずに爪を立てるなどすれば、とびひを併発するなど、さらに皮膚症状を悪化させることもあります。
同疾患は乳幼児によくみられ、これまでは成長と共に症状は改善していくと言われていましたが、最近は成人になっても症状が続く、あるいは成人を過ぎてから発症するというケースもみられるようになりました。
発症の原因は特定されていませんが、アレルギー疾患を発症しやすい体質(アトピー素因)、あるいは皮膚バリア機能の低下に加え、アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因物質)やストレス・過労、引っかき傷などによって症状を悪化させているのではないかと言われています。
このアトピー性皮膚炎は、発症時期によって症状が変わっていきます。乳児期(1歳未満)では、かゆみと湿り気のある赤い湿疹がみられ、頭部や顔面を中心に肘や膝の屈曲部などで発症がみられます。幼児期(1歳以上)になると顔面の症状は減少するものの、首回り、肘、膝の内側にかゆみが伴うカサカサした湿疹が現れるようになります。また思春期以降では、顔面や頸部をはじめ上半身を中心に湿疹の症状がみられていきます。この場合の湿疹も乾燥したカサカサの状態になっています。
皮膚の炎症を抑える治療としては、ステロイドの外用薬やタクロリムス軟膏を使用していきます。また強いかゆみの症状を訴えられている場合は、抗ヒスタミンの内服薬を使用します。このほかスキンケアとして、皮膚を常に清潔にする、保湿剤を塗布して乾燥から肌を守るなどの対策もとるようにしてください。
水虫・たむしとは
カビの一種とされる白癬菌が主に足の皮膚に入り込むことで様々な皮膚症状が起きている状態を足白癬と言いますが、一般的にはこれを水虫と言います。なお白癬菌は、手や体、股の部分などにも感染し、発症することもあります。この場合、それぞれ、手白癬、体部白癬、股部白癬(いんきんたむし)と診断され、各々の治療が行われるようになります。
足白癬(水虫)については、主に3つのタイプ(趾間型、小水疱型、角質増殖型)に分類されます。趾間型は、足の指の間に発生する水虫で、患部に紅斑や水疱、皮がボロボロ剥けるなどの皮膚症状があるほか、かゆみもみられます。小水疱型は、小さな水疱などが足指の付け根、土踏まず、足の外側の部分等に多発し、これらが潰れるなどすると、やがて皮が剥けてカサカサした状態になります。この場合、水疱が発生すると同時くらいに強いかゆみの症状がみられます。最後の角質増殖型は極めて稀なケースで、足底の全ての部分で角質層が肥厚化している状態で鱗屑(皮がボロボロと剥け、皮膚はカサカサしている)もみられますが、かゆみや痛みなどの症状はありません。ただ、踵の部分に亀裂が入るなどすると痛みが出ることがあります。このほか、足白癬が足の爪の方まで感染すると爪白癬を併発することもあります。
感染経路については、不特定多数の方との足ふきマットやサンダルの使い回し、タオルなどの共有などが挙げられます。ちなみに足白癬は足の皮膚に白癬菌が付着したとしても24時間以内に洗い落とすことができれば感染しません。ただ足の裏に傷があるなどすれば、その半分程度の時間で感染するようになります。
患者様の症状や訴えなどから足白癬が疑われると、足の角質層の一部を採取し、それを顕微鏡で調べ、白癬菌の有無を確認していきます。治療が必要という場合は、主に抗真菌薬の外用薬を使用していくことになります。ただ角質増殖型では、薬が浸透しにくいので、抗真菌薬の内服となります。
爪水虫とは
爪水虫(正式には爪白癬)は、白癬菌というカビの一種が爪に感染して起こる病気です。主に足の爪に発症しますが、手の爪に感染することもあります。感染した爪は白く濁ったり、黄色や茶色に変色したり、厚くなったりします。さらに、爪がもろくなるため、欠けたり割れたりすることが特徴的です。また、爪の下に角質がたまることで爪が浮き上がる場合もあります。
●感染経路とリスク
爪水虫は、公共の浴場やプール、ジムのシャワールームなど、湿気の多い環境で感染しやすくなります。また、足の爪が蒸れやすい靴を長時間履く習慣や、家族に爪水虫の患者がいる場合も感染リスクが高まります。高齢者や糖尿病、免疫力が低下している方は特に注意が必要です。
●治療と予防
治療は抗真菌薬を使用します。外用薬や飲み薬がありますが、爪の奥深くまで感染している場合は飲み薬が効果的です。治療期間は数か月から半年以上かかることもあります。予防のためには、足を清潔で乾燥した状態に保つこと、共用スペースでは裸足を避けることが重要です。
爪水虫は放置すると悪化するため、早めの診察と治療を心がけましょう。
イボとは
一口にイボと言いましても様々な種類があるわけですが、一般的には目で確認するのが困難なくらいの皮膚にできた小さな傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、感染することで発生する尋常性疣贅(ウイルス性疣贅)を意味することが多いです。この場合、世代に関係なく発症しますが、なかでも子どもが発症しやすいと言われています。好発しやすい部位は、手足とされていますが、傷になりやすい部位(肘、膝、顔面、手指 など)でも起きやすくなります。単体の場合もあれば、複数個発生することもあります。
このイボというのは、直径1cm未満の場合が多く、自覚症状はありません。形状は円形が多いですが、それ以外も少なくないです。色については、灰黒色、茶褐色、明るい灰色など様々で、表面はザラザラした感触があります。またどうしても見た目が気になるので、イボを自らの手で除去したいと患部をいじるなどすれば、ウイルスを巻き散らして、イボを増やしてしまうこともあります。そのため処置したいのであれば、必ず皮膚科をご受診されるようにしてください。
イボは、そのまま放置でも命に影響することはありませんが、ウイルス性であれば、増やしてしまう可能性もあるので、除去による治療を行うことが多いです。この場合、最も一般的なのが液体窒素を用いた凍結療法です。マイナス196度の液体窒素をイボに押し当てるので、治療中や治療後に痛みを感じることがあります。この場合、1度の治療で切除できることはないので、1~2週間に1回の間隔で数ヵ月程度は通院することになります。このほか、ヨクイニンなど漢方薬を使用する薬物療法、炭酸ガスレーザーや執刀による切除(手術療法)が行われることもあります。
ホクロとは
ホクロは、メラノサイトと呼ばれるメラニン色素が作られる色素細胞が変性することで発生した細胞の塊のことを言います。ホクロの多くは良性腫瘍でもありますので、放置でもとくに問題はないのですが、見た目が皮膚がんの一種でもある悪性黒色腫(メラノーマ)に似ているので、鑑別が必要となることもあります。その場合は、ダーモスコピーや病理検査(疑わしい組織を一部採取して顕微鏡で調べる)をして診断をつけるようにします。
その結果、良性であったとしても見た目などが気になって、良性であっても切除したいと訴える方も少なくありません。ただその場合は、美容的な面からの切除ということになりますので、保険適用外による治療となります。なお単なるホクロであっても切除をする際に保険が適用されることもあります。しかしこの場合は、髭を剃る際にホクロが引っかかるなど日常生活に支障をきたしているなど条件は、かなり限定されます。詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。
●治療について
ホクロの治療というのは、外科的治療による切除ということになります。この場合、レーザー治療か、メスを用いた切除になります。
レーザー治療というのは、炭酸ガスレーザーによる除去になります。この場合、レーザーの熱によって、ホクロを焼灼して取り除くことになります。施術の際は局所麻酔を行うなどして痛みを軽減させていきます。レーザーなので短時間(10分程度)で終了します。施術後は、特殊なテープを貼付しますが、その上からメイクをすることも可能です。
ホクロを除去するもう一つの方法は、メスによる切除、いわゆる執刀になります。施術前に局所麻酔をし、痛みを抑えていきます。切除後は線状に縫合して終了となります(切除縫合法)。この治療法は、大きなホクロ(5mm以上)を切除したいという場合に用いられます。なお顔面であれば1週間程度の期間を経て抜糸となります。
脂漏性皮膚炎(フケ症)とは
皮脂腺が多いとされる頭部や顔面、腋の下といった部位で皮脂の分泌が過剰となってしまうことで発生する湿疹、鱗屑、痂疲などの症状がみられている状態を脂漏性皮膚炎と言います。主に生まれて間もない乳児と、思春期~40代くらいまでの世代にみられやすいと言われています。乳児の場合は、1歳になるまでには自然と治まるようになりますが、後者の場合は慢性的に繰り返されるようになります。
なお成人でみられる脂漏性皮膚炎は、清潔にしていてもフケのようなものが頭部などからパラパラ落ちるようになるほか、かゆみもみられるようになります。さらに頭皮の一部は赤くなるほか、硬くなっている部分もあります。原因については、皮膚の常在菌でもあるマラセチア菌が関係している、あるいは皮脂分泌機能の異常などが挙げられています。
治療をする場合ですが、乳児は自然と治癒していくものなので、これといった治療はしていきませんが、アトピー性皮膚炎が疑われる場合は、効き目の弱いステロイド外用薬を用いることがあります。一方、成人の脂漏性皮膚炎の患者様は、石鹸やシャンプーによる洗顔や洗髪で清潔に努め、必要であればステロイドの外用薬を用います。またマラセチア菌が関係していのなら、抗真菌薬の外用薬を使っていきます。
たことは
たこは、表皮に向かって角質層の肥厚が進むタイプなので、痛みなどの自覚症状はみられません。ただ発症部位の感覚が鈍くなる、足底にできれば靴の中に何か挟まっている感じを受けるということはあります。発症の原因ですが、足に発生する場合は靴のサイズが合わない、歩行バランスがおかしい、足の骨の変形や異常がある等で起きるようになります。
治療に関してですが、まず慢性的に物理的な刺激を受けないようにする環境を整えるようにします。具体的には、サイズの合った靴を履く、歩行バランスを正常にしていくといったことです。また肥厚化している角質層を除去していきます。この場合、肥厚化した角質層にスピール膏を貼付し、角質層を軟らかくしてからその部分を切除することが多いです。このほかにも、炭酸ガスレーザーや液体窒素を用いた凍結療法などによって切除することもあります。
うおのめとは
うおのめは、その肥厚が真皮に向かっていき、その際に芯も形成されるようになります。この芯というのが、神経を圧迫するようになるので、発症部位が刺激を受けると圧痛が起きるようになります。このうおのめは、核とされる部分が魚や鶏の目によく似ていることから、うおのめや鶏眼と呼ばれるようになりました。発症の原因としては、サイズや幅の合わない靴を履いている、開帳足、歩行バランスが悪いといったことが挙げられます。
治療に関してですが、まず慢性的に物理的な刺激を受けないようにする環境を整えるようにします。具体的には、サイズの合った靴を履く、歩行バランスを正常にしていくといったことです。また肥厚化している角質層を除去していきます。この場合、肥厚化した角質層にスピール膏を貼付し、角質層を軟らかくしてからその部分を切除することが多いです。このほかにも、炭酸ガスレーザーや液体窒素を用いた凍結療法などによって切除することもあります。
やけど(熱傷)とは
一般的にやけどと呼ばれるケガは、医学用語では熱傷と言われています。これは高温のもの(熱湯 など)に一定時間触れてしまうことで、皮膚や粘膜が損傷を受けている状態を言います。なお低温のもの(44~50℃)であっても長時間触れ続ければ、熱傷の症状がみられるようになります。これを低温やけどと言います。やけどは、症状の程度(Ⅰ~Ⅲ度)によって分類され、治療法もそれに合わせて異なります。
Ⅰ度は軽度のやけどのことで、表皮の範囲のみ熱傷がみられている状態です。皮膚の表面は赤く、ヒリヒリした痛みなどがみられます。またⅡ度熱傷は、真皮の層まで熱傷が及んでいる状態で、比較的浅い場合を浅達性Ⅱ度熱傷、皮下組織の近くまで傷害されている場合を深達性Ⅱ度熱傷とさらに分類されます。この場合、どちらも皮膚にただれや水疱がみられますが、浅達性は水疱の底が赤く、深達性は水疱の底は白くなっていて、瘢痕化しやすいと言われています。さらにⅢ度熱傷は皮下組織にまで熱傷の症状が及び、乾燥した硬い壊死組織がみられるほか、神経まで損傷を受けているので痛みを感じることもありません。
やけどをしてしまった場合、まずその部位を速やかに水で冷やすようにしてください。範囲や程度、場所、年齢などによって異なることもありますが、30分程度は冷やしていきます。
また治療内容についてですが、Ⅰ度熱傷の場合は、主にステロイド系の外用薬を使用していきます。Ⅱ度熱傷では、損傷部位を感染予防のために洗浄し、ワセリンなど軟膏による治療を行っていきます。Ⅲ度熱傷の場合は、壊死組織を取り除き、植皮手術をするなどします。
乾癬(かんせん)とは
乾癬とは、全身の皮膚に銀白色をした鱗屑とくっきりした紅斑がいくつも現れている皮膚疾患のことで、一部はフケのようにボロボロと落ちるようになるほか、人によってはかゆみがみられることもあります。慢性的な病気とされ、皮膚細胞の異常な増殖(皮膚のターンオーバーの周期が短い など)が関係していると言われますが、現時点で原因は完全に特定されてはいません。
なお一口に乾癬と言いましても、大きく5つのタイプ(尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節症)に分かれるのですが、日本人の全乾癬患者様の9割近くが尋常性乾癬と言われています。この場合、全身の至る部位で発生する可能性はありますが、その中でも、頭部、肘や膝の内側、臀部などで起きやすいと言われています。日本では有病率は0.1%前後(欧米は約3%)とされていますが、年々上昇傾向にあります。
治療方法に関しては様々ありますが、患者様の症状の程度によって、使い分けていきます。内容としては、主にビタミンD3やステロイド系の外用薬、紫外線療法(PUVA、NA-UVB)、内服薬(レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサート など)が用いられます。また上記の治療法では、改善が困難、内服薬を使うと副作用がみられるという場合は、生物学的製剤(TNF-α阻害薬 など)による注射療法が行われます。
掌蹠膿疱症とは
左右の手のひらや足の裏に小さな水疱が多発したかと思えば、それが間もなく膿疱化してしまうのが掌蹠膿疱症です。また周囲には湿疹がみられるようにもなるのですが、かゆみの症状がみられることもあります。膿疱については、その後は痂疲化するなどして軽快していきますが、この症状を慢性的に繰り返すのも同疾患の特徴です。
発症の原因については、扁桃腺、歯、鼻といった外部と接触しやすい部位に慢性の感染症がみられる、あるいは金属アレルギーのある方、喫煙者も発症するリスクがあると言われています。
同疾患は症状が特徴的なので、その経過などから診断がつけられることもありますが、似たような症状がみられる病気(水虫 など)もあるので、病変の一部を採取して、顕微鏡で詳細を調べる皮膚生検を行うこともあります。
治療に関してですが、扁桃腺による感染症や喫煙、金属アレルギーなど原因が特定しているのであれば、扁桃の摘出、禁煙、歯科金属を取り除くなどを行っていきます。また皮膚症状を抑える治療では、ステロイドや活性型ビタミンD3の外用薬による薬物療法、光線療法(PUVA、NB-UVB)などをしていきます。
青あざ(太田母斑や異所性蒙古斑など)とは
太田母斑は、どちらか片側の目の周囲や頬(三叉神経第一枝もしくは第二枝の領域)を中心に発生する青もしくは褐色のあざ(母斑)や斑点のことを言います。黄色人種の女性(男性の4~5倍)にみられやすいとされ、生後間もなく発症することもあれば、思春期前後、あるいは成人(主に妊娠・出産期)になってから発症することもあります。原因としては、メラニン色素の異常によって起きるとされていますが、詳細に関してはわかっていません。
主な症状ですが、見た目以外で何か問題が起きるということはありません。ただ自然に消えるということはないので、見た目が気になる場合は治療ということになります。この場合もQスイッチ付きルビーレーザーやQスイッチ付きアレキサンドライトレーザーといったレーザー療法となります。ただ1回の施術で解消するということはないので、一定の間隔でレーザー治療を受けに通院する必要があります。
茶あざとは
薄い茶色の真っ平な色素斑(大きさは数mm~数cm程度)が頬など顔の部位にみられ、生後1歳くらいまでに発生すると言われていますが、思春期になってから現れるケースもあります。これは、表皮の部分にメラニン色素が多くなることで茶色(カフェオレ色)に見えるようになると言われています。放置のままでは自然に消えることはなく、斑の数は多くとも4個程度と言われ、多発している場合は神経線維腫症1型が疑われます。
悪性化することはないので放置でもかまいません。ただ多くの場合、見た目を気にして治療をするようになります。その場合、レーザー療法としてQスイッチ付きルビーレーザーなどを用いますが、1回ですべてが消えるわけではないので、何回か通院することになります。また、しばらくすると再発するということもあります。
赤あざとは
先天的な毛細血管の異常が原因とされ、血管腫という名前がついていますが、血管異常なので奇形に分類されます。生後間もない時期から現れ、境界が明瞭な平坦で赤色の斑がみられますが、自然に消えるということはありません。発症しやすい部位は頭頚部です。放置が続くと色調が濃くなっていき、成人になる頃には赤あざの部分が盛り上がることがあります。
治療をする場合は、血色素を対象としたレーザー療法(色素レーザー)を行っていきます。これは対象部位に同レーザーを照射していくもので、早ければ早いほど皮膚の回復が早くなるとは言われますが、あまりにも小さな頃から同治療を開始となると、全身麻酔が必要となるなど負担を強いることにもなりかねませんので、ある程度成長するまではカバーメイクをしていき、それなりの年齢に達してからレーザー療法をしていくという方も少なくありません。
黒あざとは
一般的にホクロと呼ばれるものは、正式には色素性母斑とか、母斑細胞母斑と言われるものです。生まれついてホクロがある先天性の色素性母斑で、直径1.5cm以上20cm以下であれば黒あざ(中型色素母斑)、直径20cm以上であれば巨大型色素性母斑と分類されます。
この場合、成長と共に大きくなっていくのですが、中型や巨大型の場合は悪性化すること(悪性黒色腫 など)がありますので、そのリスクが高いと判断されると外科的切除による手術療法が行われます。また、小型あるいは中型のケースで悪性化のリスクが低いとなれば、基本は放置でもかまいませんが、美容的な観点から除去したいという場合は、保険適用はされず全額自己負担となります。 なお治療内容については、炭酸ガスレーザーによる除去か、外科的切除になります。
紫外線治療(光線治療)とは
紫外線療法は、レーザー療法と同じ光線療法のひとつで保険適用の治療となります。同療法は、乾癬をはじめ、慢性的な皮膚疾患などの患者様に対して紫外線を照射していくというもので、単に紫外線と言いましてもUVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)などがあるわけですが、当院では波長が短く、表皮まで届くUVBを照射する、エキシマライト照射装置とナローバンドUVB照射装置を使用していきます。UVBは、免疫抑制作用が働きますので、アトピー性皮膚炎や慢性苔癬状粃糠疹といった皮膚疾患に有効とされています。
なおエキシマライトとナローバンドUVBの2つの装置の違いは、照射範囲の違いです。そのため、患者様の皮膚病変の範囲が広いという場合にナローバンドUVBを使用し、それほど広くなければエキシマライトという使い分けになります。つまり、適応疾患については同じで、以下のような皮膚疾患の治療の際に使用していきます。
乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛 など
利点や副作用について
エキシマライトやナローバンドUVBというのは、治療の際に遮光する必要がなく、治療時間が短いという特徴があります。またエキシマライトは、短時間で高用量の照射が可能で、ナローバンドUVBは、照射後の寛解期間が長いというメリットがあります。
副作用については軽度とされ、照射部位に赤みや火照り、日焼けなどの症状がみられることがあります。また長期的には紫外線を浴び続けることによる皮膚がん発症のリスクというのも挙げられています。
酒さ・酒さ様皮膚炎とは
主に中高年世代に発症するとされ、顔面とくに眉間、鼻の周囲、頬といった部位を中心に赤くなる、小さい吹き出物がみられるなどします。これは、慢性的な炎症疾患によるものと言われますが、現時点で原因は特定できていません。ただ、紫外線の影響、ストレス、アルコールといったものが状態を悪化させるのではないかと言われています。
なお赤ら顔(酒さ)と一口に言いましても、発症の種類としては3つに分けられます。1つは紅斑性酒さと呼ばれるタイプで、鼻や頬の周囲に発赤、かゆみなどの症状がみられるほか、毛細血管の拡張、脂漏やフケなども現れます。飲酒や寒暖差によって、さらに症状が悪化することもあります。次は、酒さ性座瘡というタイプで、ニキビのような症状(赤くなっている丘疹、膿疱 など)が顔全体にみられている状態です。3つ目は鼻瘤というもので、これは鼻が赤くなっているほか、丘疹が集まって鼻頭周囲に表面が凸凹している皮がズル剥け状態の腫瘤が確認できます。このほかにも角膜炎や結膜炎などの眼症状が併発していることもあります。
治療については主に薬物療法が基本となります。具体的には、抗菌薬の内服や外用薬といったものです。また毛細血管の拡張や鼻瘤状態にあるという場合は、レーザー療法などを行います。このほか、血管を拡張させる刺激物(アルコール、カフェイン など)の摂取、ストレス、寒暖差の刺激といったことも避けるなど、生活習慣の見直しも大切です。
ワキ汗(原発性腋窩多汗症)とは
ワキ汗(原発性腋窩多汗症)は、手や足、脇などに必要以上の汗をかく「多汗症」の一種で、特に脇の下に過剰な発汗が見られる状態です。この病気は、体温調節に関わる汗腺が過剰に働くことで発症しますが、特定の病気や環境条件が原因ではないため「原発性」と呼ばれます。思春期以降に発症することが多く、社会生活や心理的な負担を伴うことが少なくありません。
●症状と特徴
ワキ汗は緊張やストレス、暑さに関係なく、日常生活の中で頻繁に現れるのが特徴です。服が濡れて目立ったり、臭いが気になったりすることで、対人関係や仕事に支障をきたす場合があります。症状の程度は人によって異なりますが、重度の場合、脇の下が常に湿った状態になることもあります。
●治療法と対策
治療法には外用薬(制汗剤や抗コリン薬)、ボツリヌス療法、レーザー治療、手術(交感神経遮断術など)があります。生活習慣の改善や適切な衣類選びも効果的です。医師による診断のもと、症状やライフスタイルに合った治療を選ぶことが大切です。
ワキ汗は適切な治療で改善が期待できるため、気になる場合は早めに専門医に相談しましょう。
手汗(原発性手掌多汗症)とは
原発性手掌多汗症は、手のひらに過剰な汗をかく状態を指します。特定の病気や環境条件に起因しないため「原発性」と呼ばれ、思春期ごろから発症することが多いです。発汗の程度は人によって異なり、軽い湿り気から汗が滴り落ちるほど重度な場合までさまざまです。この状態は、体温調節に関与する交感神経が過剰に活性化していることが原因と考えられています。
●症状と影響
手汗は緊張やストレスなど精神的な要因で悪化しやすいのが特徴です。日常生活では、紙を濡らしてしまう、握手を避けたくなる、スマートフォンの操作が困難になるなどの不便が生じます。また、社会的な場面での不安や自信喪失につながることも少なくありません。
●治療法と対策
治療には、制汗薬や抗コリン薬の外用が一般的です。また、ボツリヌス療法やイオントフォレーシス(微弱な電流を用いる治療)、重症の場合は交感神経遮断術が選択肢となります。日常生活では通気性の良い手袋の使用やストレス管理が役立ちます。
手汗は生活に大きな影響を与える場合もありますが、適切な治療で改善が可能です。専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。
湿疹とは
皮膚にかゆみの症状と様々な皮疹(赤み、ブツブツ、小さな水疱 など)がみられている状態を総称して湿疹と言います。この場合、いろいろな内的因子(アトピー素因、ストレス、皮膚バリア機能の低下 など)や外的因子(薬剤、食物、ハウスダスト など)が関係して起きると言われています。湿疹の原因としては、かぶれ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など特定できることもありますが、特定できない場合に湿疹と呼ばれることが多いです。
原因判明の有無に関わらず、強いかゆみの症状が出やすいので、爪を立てて患部を掻き壊すことも少なくありません。ただそれによって皮膚が化膿、悪化するなどして、さらに(皮疹の)症状を拡大させることもありますので注意が必要です。
治療についてですが、原因が特定されているのであれば、まずそれを取り除いていきます。皮膚症状に対する治療では、ステロイドの外用薬を使用していきます。また強いかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の内服薬を用いるなどします。
かぶれ(接触性皮膚炎)とは
かぶれ(接触皮膚炎)は、皮膚が外部の物質に接触することで炎症を起こす状態を指します。これには、アレルギー性と刺激性の2種類があります。アレルギー性接触皮膚炎は、特定の物質(アレルゲン)に対する免疫反応で生じ、初めての接触では症状が出ないこともあります。一方、刺激性接触皮膚炎は、化学物質や強い洗剤などによる直接的な皮膚への刺激で発症します。
●症状
症状には、赤みや腫れ、水疱(みずぶくれ)、かゆみ、さらには痛みが含まれます。発症部位は接触した部分に限られることが多いですが、症状が広がる場合もあります。例えば、化粧品、金属(ニッケルなど)、植物(ウルシや毒アイビー)、洗剤、衣類の染料などが原因物質として知られています。
●治療と予防
治療には、原因物質の特定とその回避が最も重要です。また、症状を和らげるために、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬が使用されることがあります。重症の場合や広範囲に症状が出た場合には、医師の診断と治療が必要です。
日常生活では、原因となる物質を避けるため、手袋や保護クリームを使用すること、保湿ケアで皮膚のバリア機能を保つことが予防につながります。早めの対処で症状を抑え、悪化を防ぎましょう。
あせも(汗疹)とは
あせも(汗疹)は、汗をかいた後に汗腺が詰まり、皮膚に炎症が生じる状態です。特に汗をかきやすい夏や湿度の高い環境で発症しやすく、乳幼児や高齢者、そして運動や労働で大量の汗をかく人に多く見られます。首、背中、脇の下、股の間など、汗が溜まりやすい部位によく発症します。
●種類と症状
汗疹には主に以下の3種類があります:
1.水晶様汗疹:皮膚表面近くで汗が溜まり、小さな透明な水疱が見られる。かゆみや痛みはほとんどない。
2.紅色汗疹:汗腺が深い部分で詰まり、赤いぶつぶつとした発疹ができ、かゆみや軽い痛みを伴う。
3.深在性汗疹:汗腺がさらに深い部分で詰まり、皮膚が白っぽく盛り上がることがある。重症例はまれ。
●治療と予防
治療は、汗を減らし皮膚を乾燥させることが基本です。患部を清潔に保ち、通気性の良い衣類を着用します。症状が軽い場合は、市販のかゆみ止めや冷却効果のある軟膏で改善します。重症の場合は、医師の診察を受け、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を使用することがあります。
予防には、適切な汗対策や、こまめなシャワーで皮膚を清潔に保つことが効果的です。涼しい環境を心がけ、汗疹の再発を防ぎましょう。
痒疹とは
痒疹(ようしん)は、強いかゆみを伴う丘疹(ぶつぶつ)が皮膚に生じる疾患です。慢性のかゆみが持続し、何度も繰り返し発症することが多いのが特徴です。皮膚を掻き続けることでさらに悪化し、湿疹や硬い結節(小さな腫瘤)ができることもあります。子どもから高齢者まで幅広い年齢層に発症しますが、特にアトピー性皮膚炎などの既往がある人に多い傾向があります。
●症状と原因
痒疹の主な症状は、強いかゆみを伴う赤みや盛り上がった発疹です。これが体幹、四肢、特に腕や脚に多く現れます。原因として、皮膚への刺激やアレルギー反応、虫刺され、ストレスなどが関与していることがあります。また、慢性的な掻き壊しによって症状が悪化し、さらにかゆみが強くなるという悪循環が起こります。
●治療と対策
治療は、かゆみを抑えることが基本です。抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬、場合によっては免疫抑制剤を使用します。かゆみが強い場合は、かきむしりを防ぐため、爪を短く切ることや保湿ケアを徹底することが大切です。また、発症原因の特定と、その回避が治療の成功に大きく関わります。
痒疹は適切な治療で改善することが期待できるため、早めに皮膚科を受診し、症状に合った治療を受けましょう。
虫刺されとは
昆虫などの節足動物に含まれる毒物、あるいは咬まれる、触れるなどした際の分泌物によるアレルギー反応によって起きる様々な皮膚症状を総称して虫刺され(虫刺症)と言います。
一口に節足動物と言いましてもいろんな昆虫等がいるわけですが、主なものを挙げると、アブ、ハチ、蚊、マダニ、ノミ、疥癬虫、シラミ、毛虫といったもので、これらに刺される、咬まれるなどすることで、かゆみ、紅斑、腫れ、水疱、疼痛などの症状がみられるようになります。
なお虫刺されの中で、最も気をつけなければならないのは、ハチ(スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ など)に刺された場合です。発赤や強い痛みがみられるだけでなく、何度か刺されるとハチに含まれる毒成分に関するアレルギー反応というのがみられるようになります。これによってアナフィラキシーショックを起こし、生命に影響するということがあります。またマダニに刺されるとライム病というインフルエンザの様な症状(発熱、頭痛、関節痛、倦怠感 など)が現れ、さらに進行すると髄膜炎や顔面神経麻痺、心膜炎などがみられることもあります。
虫刺されによる皮膚症状の治療に関してですが、毒針が体内に入ったままの場合は、まずこれを除去するようにします。それほど症状が重くなければ、抗ヒスタミン薬の外用薬を使用していきます。また強いかゆみの症状があれば、ステロイド系の外用薬や抗アレルギー薬の内服薬が用いられます。このほか症状が重いという場合は、ステロイド薬の内服となります。
皮膚そうよう症とは
皮膚そうよう症は、目立った皮膚病変がないにもかかわらず、強いかゆみを感じる状態を指します。かゆみの原因が皮膚自体の異常に限らず、内臓疾患や神経の異常、精神的ストレスなど多岐にわたることが特徴です。特に高齢者に多く、全身性疾患の一症状として現れることもあります。
●症状と原因
主な症状は、皮膚の広範囲または局所にわたる強いかゆみです。掻きむしることで赤みやひっかき傷が生じ、さらに皮膚が厚く硬くなることがあります。原因として、慢性腎臓病や肝疾患、糖尿病、甲状腺機能異常などの内科的疾患、さらにはストレスや不安などの精神的要因が挙げられます。また、乾燥肌も発症に関与することがあります。
●治療と対策
治療は、原因に応じたアプローチが基本です。内科疾患が原因の場合は、その治療が優先されます。同時に、かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬や神経に作用する薬が使用されます。保湿剤やステロイド外用薬を用いて皮膚の状態を改善することも重要です。また、ぬるめの入浴やストレス管理も有効です。
皮膚そうよう症は多くの要因が絡むため、専門医の診察を受け、原因を突き止めることが症状緩和の鍵となります。
乾燥肌とは
乾燥肌(ドライスキン)は、皮膚の水分や皮脂が不足し、バリア機能が低下した状態を指します。この状態では皮膚がカサカサし、つっぱり感やかゆみを伴うことがあります。特に秋冬の寒い季節や湿度が低下する環境で悪化しやすく、年齢を重ねるとさらに顕著になることがあります。
●原因
乾燥肌の原因には、外的要因と内的要因が挙げられます。外的要因として、気候の変化、過度な洗浄、紫外線、エアコンによる乾燥が挙げられます。一方、内的要因には加齢や遺伝的な体質、栄養不足、ストレス、ホルモンバランスの変化などがあります。また、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの病気が背景にある場合もあります。
●症状
乾燥肌の主な症状は、皮膚のざらつきや粉を吹いたような見た目、かゆみ、ひび割れです。掻きむしることで炎症や湿疹を引き起こし、さらに状態が悪化することもあります。
●対策と予防
乾燥肌の改善には、適切なスキンケアが重要です。保湿剤を使用し、皮膚の水分を補い、バリア機能をサポートします。また、熱すぎるお湯を避けた短時間の入浴や、刺激の少ない洗浄剤を使うことが効果的です。バランスの取れた食事や十分な水分摂取も肌の健康維持に役立ちます。
乾燥肌を放置すると皮膚トラブルを招くため、早めの対策と日々のケアが大切です。
帯状疱疹とは
この病気は水ぼうそうに罹患したことがある方に発症します。水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで発症しますが、全身水ぶくれなどの皮膚症状が治まった後も同ウイルスは体外へ排出されることはなく、神経節に潜伏し続けます。その後、過労やストレス、加齢などによって体の免疫力が低下すると、このウイルスは活性化するようになります。その後間もなく、左右どちらか片側の神経支配領域に沿う形で、チクチクなどする神経痛、皮疹(紅斑、水ぶくれ、かさぶた化 など)といった症状がみられるようになります。これを帯状疱疹と言います。
なお皮膚症状については、3週間程度で治まるようになりますが、発症の際に痛みが強く出ていた、高齢になってから発症したとなると、この痛みが長く続くことがあります。ちなみに発症から3ヵ月以上続いていると帯状疱疹後神経痛と診断されます。この場合、痛みをとるための治療が必要になります。
治療に関してですが、発症原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスを抑制するための薬物療法として、抗ヘルペスウイルス薬を使用していきます。また皮膚症状や疼痛については、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、アセトアミノフェン、ステロイドの内服薬、神経ブロック注射などが用いられます。
このほか任意接種(全額自己負担)ではありますが、50歳以上の方であれば帯状疱疹ワクチンを接種することができます。同ワクチンを接種することで、帯状疱疹を発症しにくくなる、あるいは発症したとしても重症化するリスクが低減されるようになります。
ヘルペスとは
一口にヘルペスウイルスと言いましても様々な種類があるのですが、単純ヘルペスウイルスの1型(HSV‐1)もしくは2型(HSV-2)に感染し、発症している状態をヘルペスと言います。
HSV‐1は、主に接触感染によって感染するとされ、20代までに半数程度の人が感染するようになると言われています。一方のHSV‐2は、大半が性行為によって感染するようになります。どちらも感染後、2~10日程度の潜伏期間を経てから発症するようになります。主な症状ですが、HSV‐1ではヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性ひょうそ、Kaposi水痘様ヘルペス、性器ヘルペスがみられます。またHSV‐2は性器ヘルペス(外陰部に水疱や潰瘍)の症状が現れるようになります。
その後、症状は治まるようになりますが、2つのウイルスとも体外に排出されることはなく、神経節(HSV-1は三叉神経節、HSV-2は仙骨神経節)に潜伏するようになります。そして、体の免疫力が低下するようになると、これらウイルスは活性化するようになります。するとHSV‐1では主に口唇ヘルペス(唇の周辺などに紅斑や水疱が)などがみられ、HSV‐2であれば性器ヘルペスが再発するようになりますが、いずれも初感染時と比べると症状は軽いです。
治療をする場合、抗ヘルペス薬の内服が中心となります。ただ同薬物療法を用いてもこのウイルスを体内から排出することはできません。
口唇ヘルペスとは
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって、主に唇やその周囲に小さな水疱ができる疾患です。HSVには1型と2型がありますが、口唇ヘルペスの多くは1型によるものです。初感染後、ウイルスは体内の神経に潜伏し、免疫力が低下したときなどに再発する特徴があります。
●症状
初感染時には発熱や全身倦怠感を伴う場合もありますが、多くの人では症状が軽く、気づかれないこともあります。一方、再発時には、唇やその周囲にピリピリした違和感やかゆみが現れ、その後に小さな水疱が形成されます。これらの水疱は破れると潰瘍化し、痛みを伴うことがあります。再発は、ストレス、疲労、風邪、日焼け、ホルモンバランスの変化などが引き金となることが多いです。
●治療と予防
口唇ヘルペスは抗ウイルス薬で治療します。外用薬や内服薬があり、早期に治療を開始することで症状の進行を抑えられます。また、症状が出ている間は他人にウイルスが感染するリスクがあるため、接触を避け、手洗いを徹底することが大切です。
予防には、免疫力を低下させないようバランスの良い生活を心がけることが効果的です。再発を繰り返す場合は、医師に相談することで適切な対策がとれます。
粉瘤とは
皮下に発生した袋状の構造物の中に皮脂や角質などが入り込み、それによって半球状の腫瘤が形成されている状態を粉瘤と言います。これは良性の腫瘍で、直径にして1~2cm程度のものが多いですが、10cm程度まで大きくなることもあります。このほか、粉瘤の真ん中に黒い点がみられるのも特徴です。発症しやすい部位は、顔、首、耳の後ろ、背中などです。
この粉瘤の発生によって、何らかの自覚症状が起きるということはありませんが、指で強く押すなどすると強烈な臭いを放つドロドロした粥状の物質がみられるようになります。また自潰などして、粉瘤に発赤や腫れがみられると炎症性粉瘤と診断されますが、この場合は痛み(圧痛)などの自覚症状もみられます。
●治療について
炎症性粉瘤の場合、腫れの程度がひどく、膿も溜まっているのであれば、切開して排膿します。また感染によって、腫れるなどしているのであれば、抗菌薬を使用していきます。
なお粉瘤は良性腫瘤なので放置でも問題ありませんが、自然と治癒することもありません。そのため同じ部位ばかりに炎症や化膿がみられる、粉瘤がだんだん大きくなってきたという場合は、外科的治療による切除しかありません。この場合、袋状の構造物ごと除去するなどの手術療法を行っていきます。
巻き爪とは
巻き爪は、爪の両端が内側に巻き込むように湾曲し、皮膚に食い込む状態を指します。主に足の親指に発生しますが、他の指にも起こる可能性があります。痛みや腫れ、炎症を伴い、重症化すると化膿や肉芽腫(盛り上がった赤い肉の塊)ができることもあります。
●原因
巻き爪の原因には、複数の要因が関与します。不適切な爪の切り方(角を深く切りすぎるなど)、きつい靴やハイヒールによる圧迫、爪にかかる過剰な力(運動や歩行習慣)が主な原因です。また、遺伝的な要素や肥満、外傷、加齢による爪の変形、爪や皮膚の乾燥も巻き爪を引き起こす要因とされています。
●症状
初期段階では、爪が皮膚に当たって軽い違和感や痛みを感じる程度ですが、進行すると炎症や腫れが目立ちます。皮膚が傷つくことで細菌が感染し、膿がたまることもあります。
●治療と予防
軽症の場合は、適切な爪のケアやテーピング、矯正具の装着で改善します。重症化した場合は、外科的な治療が必要になることもあります。予防には、爪をまっすぐ切る、適切な靴を選ぶ、日頃から足の清潔を保つことが重要です。
巻き爪は日常生活に大きな支障をきたすことがあるため、早めにケアや治療を行うことが大切です。
厚い爪とは
厚い爪は、爪の表面が通常よりも厚く硬くなった状態を指します。この状態は「爪甲肥厚(そうこうひこう)」とも呼ばれ、足の爪に多く見られる症状です。爪が厚くなると、爪切りが難しくなったり、靴に当たることで痛みが生じたりすることがあります。放置すると見た目が悪化するだけでなく、爪の変形や炎症を引き起こすこともあります。
●原因
厚い爪の原因には、爪への過度な圧力や摩擦、外傷が挙げられます。また、白癬菌(カビの一種)が感染して起こる爪白癬(爪水虫)や、加齢、遺伝的な要因も関与します。さらに、糖尿病や末梢動脈疾患などの循環障害が原因で爪が肥厚する場合もあります。特に高齢者では、爪の成長が遅くなるため、肥厚しやすくなります。
●治療と対策
原因に応じた治療が必要です。爪白癬が原因の場合は、抗真菌薬(外用薬や内服薬)の使用が効果的です。加齢や外傷が原因の場合は、専門家による爪のケアや適切な爪の切り方が推奨されます。日常生活では、爪に圧力をかけない靴を選び、足の清潔を保つことが予防につながります。
厚い爪は放置すると症状が悪化することがあるため、早めに皮膚科や専門のフットケアを受けることが重要です。
日焼けと紫外線とは
日焼けは、紫外線(UV)が皮膚に当たることで引き起こされる炎症反応や色素沈着のことを指します。紫外線は太陽光に含まれる目に見えない光で、波長の長さによってUV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分類されます。このうち、地表に到達するのは主にUV-AとUV-Bで、日焼けに関与しています。
●紫外線の影響
UV-Aは波長が長く、皮膚の奥深くまで届きます。これによりシワやたるみの原因となる「光老化」を引き起こします。一方、UV-Bはエネルギーが強く、表皮にダメージを与えて赤く炎症を起こす日焼け(サンバーン)の原因となります。長期的な紫外線の影響は、皮膚がんや色素沈着(シミ、そばかす)のリスクを高めるとされています。
●日焼けの症状と対策
日焼けは軽度のものでは赤みやヒリヒリ感、重症の場合は水疱や強い痛みが生じます。これを防ぐためには、日焼け止めの使用、帽子や衣類での遮光、日差しの強い時間帯の外出を控えることが重要です。日焼け後は、冷却や保湿で皮膚をケアし、炎症がひどい場合は医師の診察を受けましょう。
紫外線は適度に浴びるとビタミンDの生成を助けますが、過剰に浴びると有害です。適切な対策で肌を守り、健康的な生活を心がけましょう。
しもやけとは
しもやけ(凍瘡〈とうそう〉)は、寒冷な環境にさらされることで皮膚の血流が悪化し、炎症や腫れが生じる状態を指します。特に冬場の気温が低い時期に発症しやすく、手足の指、耳、鼻など末端部位に多く見られます。成人よりも血流調節が未熟な子どもや、高齢者に多いのが特徴です。
●症状
しもやけの初期症状として、患部が赤紫色に腫れ、かゆみや痛みを伴うことがあります。重症の場合、皮膚がひび割れたり、水疱ができることもあります。また、寒暖差が大きい環境では、血流が急激に変化し、症状が悪化する場合があります。症状は寒冷な環境が続くと長引きますが、暖かい環境に戻ると数週間で自然に治ることも多いです。
●原因
主な原因は、寒冷による血管の収縮と拡張の繰り返しで血流が滞ることです。また、長時間濡れた状態や締め付けの強い衣類・靴なども発症リスクを高めます。
●治療と予防
軽症の場合、患部を温めたり、血行を良くするマッサージが効果的です。重症の場合は医師による治療が必要で、血流改善のための内服薬や外用薬が処方されます。予防には、防寒具の着用、濡れた手足の早急な乾燥、締め付けの少ない靴や手袋の使用が有効です。
しもやけは日常生活で大きな不快感を引き起こすため、早めの対策が重要です。
カンジダとは
カンジダは、カンジダ属という真菌(カビ)の一種によって引き起こされる感染症です。カンジダ菌は健康な人の皮膚や粘膜、消化管、膣などに常在しており、通常は問題を起こしません。しかし、免疫力の低下や体内環境の変化により、異常に増殖することで症状が現れます。
●主な種類と症状
カンジダ感染症は、感染部位によって以下のように分類されます。
・口腔カンジダ症(口の中):白い斑点が口内や舌に現れ、痛みや不快感を伴う。
・膣カンジダ症(女性の膣):強いかゆみ、白いおりもの(カッテージチーズ状)や痛みが・特徴。
・皮膚カンジダ症(皮膚のしわ部分など):赤い湿疹やかゆみが生じる。
・全身性カンジダ症(重症の場合):血流を介して全身に広がり、命に関わることもある。
●原因
カンジダ感染症の主な原因は、抗生物質の長期使用、妊娠、糖尿病、ストレス、免疫力の低下(例:がん治療、HIV感染)などです。これらの要因が体内の菌のバランスを崩し、カンジダ菌が異常増殖します。
●治療と予防
治療には抗真菌薬(外用薬や内服薬)が使用されます。感染部位や症状の程度に応じて、医師の指示に従うことが重要です。予防には、適切な衛生管理、免疫力を維持する生活習慣、抗生物質の使用を必要最小限に抑えることが効果的です。
早めの対処で悪化を防ぐことができるため、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
薬疹とは
薬疹(やくしん)は、薬剤の使用によって引き起こされる皮膚の炎症性反応を指します。主に内服薬(抗生物質、解熱鎮痛薬、抗てんかん薬など)が原因となりますが、まれに外用薬や注射薬でも発生することがあります。薬を服用してから数時間から数週間後に発症することが多く、軽度なものから重篤な症状を伴うものまで、その程度はさまざまです。
●症状
薬疹の症状は多様ですが、一般的には発疹、かゆみ、紅斑(赤い斑点)、膨疹(腫れた発疹)などが現れます。全身に広がる場合や、水疱、ただれ、発熱を伴う場合もあります。まれに、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症などの重篤な症状を引き起こすことがあり、命に関わるケースもあります。
●原因
薬疹は、薬剤に対する免疫系の過剰反応が主な原因です。また、特定の薬剤に対する体質的な要因や、薬の組み合わせによる影響も関与します。一度薬疹が発生した薬剤は再び使用すると同じ反応が起こる可能性が高いです。
●治療と予防
薬疹が疑われた場合は、直ちに原因となる薬の使用を中止し、医師に相談することが重要です。治療には、抗ヒスタミン薬やステロイド薬を用いて症状を緩和します。重症例では入院治療が必要です。予防には、過去に発疹を引き起こした薬剤を避けることが大切で、医療機関でアレルギー情報を共有することが有効です。
早期発見と適切な対応で、症状の進行を防ぐことができます。
蜂窩織炎とは
蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、細菌感染によって皮膚や皮下組織に炎症が生じる疾患です。主に溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌が原因菌とされ、傷口や皮膚の小さな亀裂から細菌が侵入して感染が広がります。顔、手足、特に下肢に発症することが多く、進行が早いため早期治療が重要です。
●症状
蜂窩織炎の主な症状は、発赤(皮膚が赤くなる)、腫れ、熱感、痛みです。感染が広がると発熱、倦怠感、悪寒などの全身症状を伴うことがあります。重症例では、患部に膿がたまったり、リンパ管炎や敗血症を引き起こすこともあります。
●原因とリスク要因
原因菌は通常、健康な皮膚に存在する常在菌ですが、皮膚のバリア機能が損なわれることで感染が成立します。リスク要因として、外傷、糖尿病、リンパ浮腫、免疫力の低下などが挙げられます。また、水虫や皮膚の乾燥による亀裂も感染の入り口になることがあります。
●治療と予防
治療には抗生物質が使用され、軽症の場合は内服薬、重症例では点滴が必要です。適切な治療を行うことで多くの場合は数日から数週間で改善します。予防には、皮膚を清潔に保つこと、傷口を適切にケアすることが重要です。また、水虫や乾燥肌を早期に治療することで発症リスクを軽減できます。
蜂窩織炎は放置すると重篤化する可能性があるため、早期診断と治療を心がけましょう。
丹毒とは
丹毒(たんどく)は、皮膚や皮下組織に細菌感染が起こり、赤く腫れる炎症を引き起こす疾患です。主に溶血性連鎖球菌が原因菌とされ、傷口や皮膚の小さな亀裂から細菌が侵入して感染が広がります。顔や脚、手などに発症しやすく、特に高齢者や免疫力が低下している人で多く見られます。
●症状
丹毒の特徴は、患部が明瞭な境界を持つ赤い発疹や腫れです。この部分は熱を帯び、触れると痛みを伴います。発症部位が腫れるだけでなく、リンパ管を通じて炎症が広がることもあります。また、高熱(38〜40℃)、悪寒、倦怠感といった全身症状がしばしばみられます。放置すると感染が深部に進行し、蜂窩織炎や敗血症などを引き起こす可能性があります。
●原因とリスク要因
丹毒は、皮膚のバリア機能が低下することで細菌が侵入し発症します。外傷、皮膚の亀裂、水虫、リンパ浮腫、糖尿病などがリスクを高める要因です。特に足にできた水虫から発症するケースが多いとされています。
●治療と予防
治療には抗生物質(ペニシリン系やセフェム系)が用いられます。重症の場合は入院し、点滴治療を行うこともあります。予防には、皮膚を清潔に保つこと、傷口を適切にケアすることが重要です。また、水虫や乾燥肌などの皮膚疾患を早めに治療することで発症リスクを下げられます。
丹毒は早期治療で改善が期待できるため、症状が出た場合はすぐに医師に相談しましょう。
ひょうそとは
ひょうそ(爪周囲炎〈そうしゅういえん〉)は、爪の周囲に細菌や真菌(カビ)が感染し、炎症を引き起こす疾患です。主に手や足の指先に発生し、爪の根元や側面が赤く腫れ、痛みや膿が生じるのが特徴です。日常生活での些細な外傷(ささくれや爪を噛む癖など)から感染することが多い疾患です。
●症状
初期段階では、爪の周囲が赤く腫れて軽い痛みを感じます。進行すると腫れが悪化し、膿がたまり、触れると激しい痛みを伴うようになります。さらに重症化すると、感染が指全体に広がり、蜂窩織炎を引き起こすこともあります。真菌が原因の場合、症状が慢性的に続くことがあります。
●原因とリスク要因
原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌で、真菌(カンジダ菌)が関与する場合もあります。ささくれや爪を切りすぎること、ネイルアートや人工爪の装着、手足の湿潤状態が感染リスクを高めます。また、糖尿病や免疫力低下のある人は発症しやすい傾向があります。
●治療と予防
軽症の場合、患部を清潔に保ち、抗生物質の軟膏を塗布することで改善します。膿がたまっている場合は、医師が切開して排膿することがあります。重症例では、抗生物質の内服や点滴が必要です。予防には、手足の清潔を保つこと、爪を適切にケアすること、ささくれを引っ張らないことが重要です。
ひょうそは早期対応で治癒が期待できるため、違和感を感じたら速やかに対処しましょう。
稗粒腫とは
直径にして1~2mmくらいの小さく硬めの白いブツブツ(丘疹)が、主に目の周囲で見受けられるようになります。また、痛みやかゆみといった自覚症状は、ほぼ現れることはりません。原発性として発生するのは乳児の頃で、この場合は自然に消失することもあります。また成人になってから発症することもありますが、この場合は、外傷、やけどなどがきっかけとなります。ただ、放置のままでも自然に消えるということはありません。
●治療について
この場合の治療は外科的治療となります。稗粒腫の部分に注射針で小さな穴を開け、ピンセットで内容物(角質の塊)を押し出し、除去していくという方法になります。施術中に強い痛みを感じることはありませんが、脾粒腫の数が多数ある場合は、麻酔テープを貼った後に行うということもあります。
スキンタグとは
主に首回りも発生するイボのことで、機械的な摩擦、紫外線を浴び続けるなどして発症すると言われています。皮膚の老化現象のひとつで、首以外にも腋の下や股といった摩擦したすい部位でも起きることはありますが、良性腫瘍の一種です。痛みやかゆみといった症状は、ほぼみられません。ただ衣服などの摩擦によって、こすれやすい場合などは炎症を起こすことがあります。
スキンタグの見た目ですが、皮膚から飛び出て、鶏のとさかのような突起したイボが見られます。
●治療について
基本的に良性の腫瘍なので放置でも重要な問題が生じるということはありません。そのため見た目が気になる場合に切除することが多いです。治療法としては、液体窒素による凍結療法(週1回程度の通院で、何度が通う必要があります)か、レーザー治療(炭酸ガスレーザー)による切除ということになります。
軟性線維腫とは
頸部をはじめ、腋窩、鼠径部といった比較的柔らかい皮膚の部位で発生する直径1cm程度の半ドーム状~有茎の腫瘍を言います。色は淡褐色や肌色です。痛みやかゆみといった症状はありません。
良性の皮膚腫瘍なので経過観察でもかまいませんが、衣類に擦れるなどして炎症が起きることもあります。また加齢と共に大きくなるのも特徴で、だんだん目立つようになります。なお発症の原因は、老化、肥満、物理的刺激などが挙げられますが、現時点では特定できていません。
治療が必要と判断されると、液体窒素による凍結療法をはじめ、物理的に軟性線維腫を切除する外科的治療、炭酸ガスレーザーによって細胞を破壊して切除するといったことを行っていきます。
皮膚線維腫とは
腕や大腿などの皮膚に発生する数mm~2cm程度の繊維組織やコラーゲンが増殖してできた良性の腫瘍です。色は淡褐色や肌色です。痛みやかゆみといった症状はありませんが、患部をつまんだり圧迫したりすると痛みを伴う場合があります。
腫瘍の数は1つだけの場合がほとんどですが、多発する場合もあります。
これも良性の皮膚腫瘍なので経過観察でもかまいませんが、衣類に擦れるなどして炎症が起きることもあります。発症の原因は、虫刺されや小さな傷、遺伝などが関係するとされておりますが、現時点では特定できていません。
治療を行う際には、物理的に軟性線維腫を切除する外科的治療を行います。
神経繊維腫とは
神経繊維腫(しんけいせんいしゅ)は、神経を構成する細胞が異常増殖することで生じる良性の腫瘍です。皮膚や体内の神経に発生し、単独で現れる場合と、全身に多数できる場合があります。後者は遺伝性疾患である神経線維腫症(1型、NF1)に関連しており、遺伝子の変異が原因です。
●症状
神経繊維腫は、皮膚表面やその下に軟らかいしこりとして現れるのが特徴です。多くの場合、痛みはありませんが、腫瘍が大きくなると神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こすことがあります。また、NF1ではカフェオレ斑(茶色の斑点)や軟部腫瘍、骨の異常がみられることもあります。腫瘍の場所や数、影響する神経の種類により症状はさまざまです。
●原因
単発性の神経繊維腫は、明確な原因が特定されていない場合が多いですが、NF1は遺伝性疾患であり、常染色体優性遺伝の形式をとります。NF1は新生児約3,000人に1人の割合で発症します。
●治療と予後
良性腫瘍のため、治療が必要ない場合もありますが、腫瘍が大きくなり痛みや機能障害を引き起こす場合は手術で切除します。NF1関連の場合は、定期的な医療管理が推奨されます。一部のケースでは、腫瘍が悪性化するリスクがあるため注意が必要です。
神経繊維腫が疑われる場合は早めに専門医を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされる性感染症の一つです。主にHPVの6型や11型が原因で、性行為によって皮膚や粘膜に感染します。感染後、数週間から数か月の潜伏期間を経て、外陰部や肛門周囲、口腔などにいぼ状の隆起が現れるのが特徴です。
●症状
尖圭コンジローマの特徴的な症状は、乳頭状またはカリフラワー状の柔らかいいぼが性器や肛門周囲に発生することです。かゆみや軽い痛みを伴うことがありますが、多くの場合、痛みはありません。放置するといぼが大きくなり、感染部位が広がることがあります。一部では、免疫力の低下により再発しやすい場合があります。
●原因とリスク要因
尖圭コンジローマの主な感染経路は性行為で、コンドームを使用しない性行為や複数の性的パートナーを持つことがリスクを高めます。また、HPVは非常に感染力が強く、感染者との直接接触で容易に伝播します。
●治療と予防
治療には、イミキモドクリームやポドフィリン樹脂などの外用薬、液体窒素による凍結療法、または電気メスやレーザーによる切除が用いられます。再発する場合も多いため、定期的な診察が必要です。
予防には、コンドームの使用やHPVワクチンの接種が効果的です。症状がある場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
水疱症とは
水疱症(すいほうしょう)は、皮膚や粘膜に水疱(液体を含む小さな袋)が形成される疾患の総称です。原因や症状によりいくつかの種類がありますが、特に自己免疫疾患として分類されるものが多いです。代表的な疾患には、尋常性天疱瘡や類天疱瘡があります。これらは免疫システムが誤って自身の皮膚の成分を攻撃することで発症します。
●症状
主な症状は、皮膚や粘膜に現れる水疱やびらん(皮膚が剥がれた状態)です。水疱は破れやすく、破れた後は痛みを伴うびらんが残ります。粘膜(口腔、咽頭、外陰部など)に症状が現れる場合は、飲食や排尿が困難になることもあります。尋常性天疱瘡は全身に水疱が広がることが多く、類天疱瘡は高齢者に多く、強いかゆみを伴います。
●原因
水疱症の原因は疾患によって異なりますが、尋常性天疱瘡や類天疱瘡などの自己免疫性水疱症では、体内で生成された抗体が皮膚の結合部分(デスモソームや基底膜)を攻撃することで水疱が形成されます。また、遺伝性のものや感染症、薬剤が原因となるものもあります。
●治療と予後
治療は、免疫反応を抑えるためのステロイド薬や免疫抑制剤が中心です。症状の進行を抑えるために早期診断と適切な治療が重要です。重症例では入院治療が必要になることがあります。
水疱症は慢性化しやすい疾患も多いため、医師との連携のもとで適切な治療を継続することが大切です。
血管炎とは
血管炎(けっかんえん)は、血管の壁に炎症が生じる疾患の総称です。この炎症により血管が狭くなったり閉塞したりすることで、血流が障害され、さまざまな臓器や組織に影響を及ぼします。血管炎は、血管のサイズ(大・中・小)や原因によって分類され、多くの種類があります。代表的なものには、巨細胞性動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、ベーチェット病などがあります。
●症状
症状は血管炎が影響する部位や臓器によって異なりますが、一般的には発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状が見られます。さらに、皮膚の紅斑や紫斑(血管が破れて出血することによるもの)、関節痛、筋肉痛、臓器の機能障害(腎不全、肺の障害など)が現れることがあります。頭痛や視力低下がみられる場合もあります。
●原因
血管炎の原因は、自己免疫反応が主なものです。免疫システムが誤って血管の壁を攻撃し、炎症を引き起こします。一部の血管炎は感染症や薬剤、悪性腫瘍が誘因となることもありますが、多くは原因不明です。
●治療と予後
治療は血管炎の種類や重症度に応じて異なりますが、一般的にはステロイド薬や免疫抑制薬を使用して炎症を抑えます。重症の場合は、生物学的製剤が用いられることもあります。治療により症状が改善することが多いですが、再発することもあるため定期的な経過観察が必要です。
血管炎は早期診断と治療が予後を大きく左右するため、症状が疑われる場合は速やかに専門医を受診しましょう。
膠原病とは
膠原病(こうげんびょう)は、免疫の異常により、自己の組織や臓器を攻撃して炎症を引き起こす疾患群の総称です。主に関節、皮膚、血管、筋肉などの結合組織が影響を受けることが多く、全身にさまざまな症状を引き起こします。膠原病には、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎などが含まれます。
●症状
膠原病の症状は多岐にわたりますが、主なものとして発熱、関節痛、筋肉痛、倦怠感、皮膚の発疹、レイノー現象(寒さで指先が白や青に変色する)などが挙げられます。また、病気の種類によって特有の症状が現れることがあります。例えば、SLEでは蝶形紅斑と呼ばれる顔の発疹が特徴的です。
●原因
膠原病の明確な原因は不明ですが、免疫系の異常が主な要因です。遺伝的要素、感染症、ストレス、ホルモンの影響が関与していると考えられています。特に女性に多く発症し、20〜40代に好発することが一般的です。
●治療と予後
膠原病は根治が難しい疾患ですが、ステロイド薬や免疫抑制薬、抗リウマチ薬を使用することで症状をコントロールできます。病気の種類や重症度によって治療法は異なり、定期的な診察と治療が重要です。
早期診断と適切な治療により、日常生活を問題なく送れるケースも多いため、疑わしい症状があれば専門医を受診することが大切です。
皮膚ガンとは
皮膚ガンは、皮膚の細胞が異常に増殖し、腫瘍を形成する疾患です。皮膚がんにはいくつかの種類があり、代表的なものには基底細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫(メラノーマ)があります。これらは皮膚の異なる細胞から発生し、進行の速さや治療法も異なります。
●症状
皮膚ガンの初期症状として、皮膚に新しくできたしこりや、既存のほくろが大きくなったり形が変化することがあります。基底細胞がんでは、表面が光沢のあるしこりや潰瘍が見られ、扁平上皮がんでは赤く硬いしこりやかさぶたが特徴です。悪性黒色腫は、ほくろの形状が不規則になり、色が濃くなったり黒くなることが多いです。
●原因
皮膚がんの主な原因は、紫外線(UV)による皮膚細胞のDNA損傷です。特に長時間の日光曝露や日焼けの経験がある人、または人工的な日焼け(例:日焼けサロン)を利用した人にリスクが高まります。加齢や遺伝的な要因も影響します。
●治療と予防
治療法はガンの種類や進行度によりますが、主に手術で腫瘍を切除します。進行した場合は、放射線療法や免疫療法が行われることもあります。予防には、日焼け止めの使用、日差しの強い時間帯の外出を控えること、定期的に皮膚をチェックして異常を早期発見することが有効です。
皮膚ガンは早期発見で治癒率が高まるため、皮膚の変化に気づいた場合はすぐに専門医を受診しましょう。