乳幼児湿疹とは

乳児(1歳未満)の時期に発症する湿疹を総称して乳児湿疹と言います。その中で最も代表的とされているのが、乳児脂漏性皮膚炎です。同湿疹が起きる原因ですが、乳児期は皮脂分泌が活発になるのですが、生後2~4週間の期間で皮脂腺が多いとされる頭部やおでこに紅斑や黄色っぽいかさぶたがみられ、次第にポロポロ落ちるようになります。かゆみなどの自覚症状は軽度にみられるという程度で、1歳を過ぎる頃には解消するようになります。治療については、脂漏部位(頭部、おでこ 等)を洗顔や洗髪によって清潔に保つほか、ステロイド外用薬を塗布するなどしていきます。

このほか、アトピー性皮膚炎も乳児のうちから発生するので、乳児湿疹のひとつに数えられます。さらに口周りの皮膚炎(よだれかぶれ:唾液や食物に含まれる成分が刺激となって起きるかぶれ)、食物アレルギー(食物がアレルゲンとなって発症するアレルギー症状)による湿疹というのもあります。

小児脂漏性皮膚炎とは

小児脂漏性皮膚炎は、生後数週間から数か月の乳児に発生しやすい、皮脂腺の過剰分泌に伴う皮膚炎です。特に頭皮や顔、耳の周囲、首、体のシワ部分など、皮脂の分泌が盛んな部位に発症します。俗に「乳児湿疹」とも呼ばれることがありますが、その中でも脂漏性皮膚炎は比較的特徴的な症状を持っています。

●症状
主な症状は、黄色っぽいかさぶたや鱗状の皮膚、赤みを帯びた発疹です。頭皮では、厚い脂っぽいかさぶたが現れることが多く、眉毛や鼻の周り、耳の後ろにも鱗屑(フケのような皮膚片)が見られることがあります。かゆみは一般的には軽度で、乳児は特に気にする様子を見せないことが多いですが、まれに掻きむしることもあります。

●原因
小児脂漏性皮膚炎の原因は完全には解明されていませんが、ホルモンの影響による皮脂分泌の増加や、常在菌(マラセチア菌)が関与していると考えられています。また、乾燥や刺激によって症状が悪化することがあります。

●治療と予防
多くの場合、数週間から数か月で自然に治癒します。治療には、温かいタオルやベビーオイルで柔らかくした後に、かさぶたを優しく除去する方法や、保湿クリームを使用することが効果的です。重症例では、医師の処方による低濃度のステロイド外用薬や抗真菌薬を使用することもあります。

日々のスキンケアと適切な治療で、症状を和らげ、快適に過ごせるようにしましょう。

とびひ(伝染性膿痂疹)とは

医学用語では伝染性膿痂疹と呼ばれ、原因菌によって痂疲性膿痂疹、水疱性膿痂疹に分けられます。ここでは、乳幼児に多くみられる水疱性膿痂疹によるとびひについて説明します。

水疱性膿痂疹は、皮膚に常在する黄色ブドウ球菌が、切り傷やすり傷、アトピー性皮膚炎や虫刺され、あせもなどのかゆみの症状から作られた引っかき傷などから入り込んで感染し、それによって発生した薄い膜で覆われた透明な水疱のことを言います。顔や手足などでみられるようになりますが、かゆみが伴うので、多くは爪を立てて水疱をつぶすようになります。すると菌が付いた指先で体のあちこちを触るようになるので、水疱が瞬く間に全身に広がるようになります。その様子が火の粉から発生する火事にも似ていることから一般的には飛び火と言われるようになりました。

なお水疱が破れると赤くただれた皮膚の部分が露出し(びらん状態)、それがかさぶた化し、剥がれると治癒になります。その期間は1週間程度と言われています。

治療の中心は薬物療法です。抗菌薬の内服と軟膏を使用していきます。またかゆみの症状が強ければ抗ヒスタミン薬を使用していきます。またスキンケアとして、石鹸で洗い、シャワーで流すなど皮膚を清潔に保つことも大切です。

ニキビ(尋常性ざ瘡)とは

医学用語では尋常性挫創という皮膚疾患になります。これは脂腺性毛包と呼ばれる毛穴で発生する慢性の炎症疾患になります。脂腺は、思春期から成人にかけて大きく発達し、その際に皮脂が多く分泌するなどして、毛穴(脂腺性毛包)を塞ぐようになって面皰(めんぽう)を形成していきます。するとこの面皰を栄養源にして、皮膚の常在菌でもあるアクネ桿菌が増殖し、炎症が発症するようになります。ちなみにニキビが発症しやすい部位は、脂腺性毛包が集中しているとされる、顔、胸、背中です。また思春期を過ぎた後も、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスが乱れるといったことでニキビが発生することもあります。これはいわゆる大人のニキビと呼ばれるものです。

なお面皰があっても炎症が起きていない状態を白ニキビや黒ニキビ(白ニキビの毛穴が開いている状態)と言い、炎症を起こしている状態を赤ニキビ、これがさらに悪化し膿の塊もみられている状態を黄ニキビと呼ぶこともあります。ちなみに黄ニキビの状態で、適切な治療をしないと炎症が治まった後にクレーターのような凸凹した痕が残るようになります。これを瘢痕と言いますが、このような状態になると治していくことが困難となりますので要注意です。

治療についてですが、炎症(赤ニキビ)や膿(黄ニキビ)がある場合は、抗菌薬の外用薬を使用していきます。症状がひどい場合は、抗菌薬の内服薬を用いるようにします。また発症しないための予防対策も大事で、普段から規則正しい生活に努める、1日2回程度の洗顔をする(過度にはしない)などのケアも怠らないようにしてください。

ウイルス性イボ(尋常性疣贅)とは

一口にイボと言いましても様々な種類があるわけですが、一般的には目で確認するのが困難なくらいの皮膚にできた小さな傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、感染することで発生する尋常性疣贅(ウイルス性疣贅)を意味することが多いです。この場合、世代に関係なく発症しますが、なかでも子どもが発症しやすいと言われています。好発しやすい部位は、手足とされていますが、傷になりやすい部位(肘、膝、顔面、手指 など)でも起きやすくなります。単体の場合もあれば、複数個発生することもあります。

このイボというのは、直径1cm未満の場合が多く、自覚症状はありません。形状は円形が多いですが、それ以外も少なくないです。色については、灰黒色、茶褐色、明るい灰色など様々で、表面はザラザラした感触があります。またどうしても見た目が気になるので、イボを自らの手で除去したいと患部をいじるなどすれば、ウイルスを巻き散らして、イボを増やしてしまうこともあります。そのため処置したいのであれば、必ず皮膚科をご受診されるようにしてください。

イボは、そのまま放置でも命に影響することはありませんが、ウイルス性であれば、増やしてしまう可能性もあるので、除去による治療を行うことが多いです。この場合、最も一般的なのが液体窒素を用いた凍結療法です。マイナス196度の液体窒素をイボに押し当てるので、治療中や治療後に痛みを感じることがあります。この場合、1度の治療で切除できることはないので、1~2週間に1回の間隔で数ヵ月程度は通院することになります。このほか、ヨクイニンなど漢方薬を使用する薬物療法、炭酸ガスレーザーや執刀による切除(手術療法)が行われることもあります。

水いぼ(伝染性軟属腫)とは

伝染性軟属腫ウイルスに感染することで発症する光沢感があって中央にくぼみがあるいぼのことを水いぼと言います。大きさは数㎜程度で、主に夏の時期の小児に発症しやすく、摩擦が起きやすい腋の下や臀部、肘の内側などでみられることが多いです。かゆみなどの自覚症状はないとされていますが、アトピー性皮膚炎を併発しているとそのかゆみから掻き壊し、ウイルスの詰まった水いぼが破れると、体のあちこちに(ウイルスが)飛び散るなどして、様々な部位で発症させることもあります。

なお水いぼは、何の治療をしなかったとしても半年から1年の間に水いぼに対する免疫がつくなどして自然と治癒するようになります。ただその期間というのは、あまりにも長いので多くの患者様は除去する治療を行っていきます。

水いぼの治療では、特殊なピンセットを使って、ひとつずつ摘まんで潰すという方法がありますが、これは強い痛みが出るので麻酔テープを事前に使用して痛みを緩和させていきます。このほかにも液体窒素や漢方薬(ヨクイニン)による治療法もあります。

アトピー性皮膚炎とは

強いかゆみを伴う湿疹(発赤 など)が体の一部でみられ、良くなったり悪くなったりという状態が慢性的に起きるのがアトピー性皮膚炎です。

早ければ、生まれて間もない生後2~3ヵ月頃から発症することになりますが、乳児脂漏性湿疹など他の乳児湿疹と見分けがつかないことも少なくありません。ただこのような湿疹が生後半年で2カ月以上、半年以上の乳幼児で6ヵ月以上続いているとアトピー性皮膚炎と診断されます。

発症の原因は完全に特定したわけではないですが、アレルギーが起きやすい体質(家族を含め、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に罹患したことがある)であること、また皮膚バリア機能が低下しやすい方(ドライスキンになりやすい など)が発症しやすいと言われています。

よくみられる症状は年齢によって変わってきます。1歳未満までは、湿り気と赤みを帯びた湿疹が頭部や顔面を中心に肘や膝の内側のほか、腹部や背中あたりにもみられることがあります。また1歳を過ぎる頃になると顔面部での湿疹は減少し、首回りや肘や膝の内側で湿疹症状が現れることが多く、湿疹はカサカサとした乾燥状態になっていて、患部は黒ずむようになります。なお湿疹の症状というのは左右対称に現れやすいのも特徴のひとつです。

現時点では、完治させる方法というのはありません。ただこれまでは成長していくことで、治っていくとも言われていました。ただ最近は、成人を過ぎても症状が続くということも少なくありません。

そのため同疾患の治療というのは、皮膚症状を抑えるための対症療法となります。炎症など皮膚症状を抑える場合は、ステロイド系の外用薬やタクロリムス軟膏を使用していきます。また、かゆみの症状を強く訴えている場合は、抗ヒスタミン薬を併用することもあります。このほか皮膚バリア機能を高めるためのスキンケアも怠らないようにしてください。

おむつ皮膚炎とは

おむつをしている部分が赤くただれてしまっている状態がおむつかぶれです。原因は、尿や便が付着しているおむつを長時間当てていることで起きると言われています。尿や便には消化酵素が含まれているのですが、この刺激によって皮膚に炎症が起きると言われています。発症間もない頃は、おむつを当てている部分に発赤がみられる程度ですが、ひどい状態になると皮膚がただれ、血がにじむこともあります。

治療をする場合ですが、常におしり周りを清潔にし、おむつはこまめに替えるようにしてください。おしりを洗浄した後は水分をタオルなどしっかり拭きとって速やかに乾燥させます。症状が軽度であれば、これを繰り返すことで症状が治まるようになります。症状が強く出ている場合は医療機関を受診します。治療が必要な場合は、亜鉛華単軟膏による薬物療法となりますが、同軟膏では治りにくいということであれば、低用量のステロイド外用薬を使用します。

それでも改善傾向がみられないという場合は、おむつかぶれに皮膚のカンジダ感染症の可能性があります。同感染症であれば、ステロイド外用薬は症状を悪化させることになるので、1週間程度で効果がなければ、速やかに再受診されるようにしてください。

乾燥肌とは

乾燥肌(ドライスキン)は、皮膚の水分や皮脂が不足し、バリア機能が低下した状態を指します。この状態では皮膚がカサカサし、つっぱり感やかゆみを伴うことがあります。特に秋冬の寒い季節や湿度が低下する環境で悪化しやすく、年齢を重ねるとさらに顕著になることがあります。

●原因
乾燥肌の原因には、外的要因と内的要因が挙げられます。外的要因として、気候の変化、過度な洗浄、紫外線、エアコンによる乾燥が挙げられます。一方、内的要因には加齢や遺伝的な体質、栄養不足、ストレス、ホルモンバランスの変化などがあります。また、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの病気が背景にある場合もあります。

●症状
乾燥肌の主な症状は、皮膚のざらつきや粉を吹いたような見た目、かゆみ、ひび割れです。掻きむしることで炎症や湿疹を引き起こし、さらに状態が悪化することもあります。

●対策と予防
乾燥肌の改善には、適切なスキンケアが重要です。保湿剤を使用し、皮膚の水分を補い、バリア機能をサポートします。また、熱すぎるお湯を避けた短時間の入浴や、刺激の少ない洗浄剤を使うことが効果的です。バランスの取れた食事や十分な水分摂取も肌の健康維持に役立ちます。

乾燥肌を放置すると皮膚トラブルを招くため、早めの対策と日々のケアが大切です。

口なめ皮膚炎とは

口なめ皮膚炎は、口周りの皮膚に繰り返し刺激が加わることで炎症を起こす皮膚疾患で、正式には口囲皮膚炎(こういひふえん)と呼ばれます。特に、幼児や乳児が唇の周りを舌でなめる癖がある場合に発症しやすい疾患です。唾液による皮膚の刺激と乾燥が繰り返されることで、炎症が進行します。

●症状
口の周囲が赤くなり、乾燥して皮がむけることが主な症状です。ひりひりしたり、かゆみを伴う場合もあります。進行すると、湿疹が広がり、さらに悪化して亀裂やかさぶたができることがあります。また、刺激を受け続けることで皮膚が硬くなったり、色素沈着が起こることもあります。

●原因
口なめ皮膚炎の原因は、唾液による皮膚の繰り返しの刺激と乾燥です。唾液には酵素が含まれており、皮膚のバリア機能を損なうことがあります。また、寒冷や乾燥した気候、アレルギー体質も悪化の要因になります。子どもの癖として無意識に唇周りをなめ続ける行動が症状を悪化させます。

●治療と予防
治療には、皮膚の保湿を徹底することが重要です。ワセリンや保湿クリームを患部に塗布し、皮膚を保護します。症状がひどい場合には、医師の指示により低濃度のステロイド外用薬を使用することもあります。

予防には、子どもが口周りをなめる癖を改善することが必要です。また、乾燥しやすい季節には適切なスキンケアを行い、皮膚を保護することで再発を防ぐことができます。

虫刺され(虫刺症)とは

昆虫などの節足動物に含まれる毒物、あるいは咬まれる、触れるなどした際の分泌物によるアレルギー反応によって起きる様々な皮膚症状を総称して虫刺され(虫刺症)と言います。

一口に節足動物と言いましてもいろんな昆虫等がいるわけですが、主なものを挙げると、アブ、ハチ、蚊、マダニ、ノミ、疥癬虫、シラミ、毛虫といったもので、これらに刺される、咬まれるなどすることで、かゆみ、紅斑、腫れ、水疱、疼痛などの症状がみられるようになります。

なお虫刺されの中で、最も気をつけなければならないのは、ハチ(スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ など)に刺された場合です。発赤や強い痛みがみられるだけでなく、何度か刺されるとハチに含まれる毒成分に関するアレルギー反応というのがみられるようになります。これによってアナフィラキシーショックを起こし、生命に影響するということがあります。またマダニに刺されるとライム病というインフルエンザの様な症状(発熱、頭痛、関節痛、倦怠感 など)が現れ、さらに進行すると髄膜炎や顔面神経麻痺、心膜炎などがみられることもあります。

虫刺されによる皮膚症状の治療に関してですが、毒針が体内に入ったままの場合は、まずこれを除去するようにします。それほど症状が重くなければ、抗ヒスタミン薬の外用薬を使用していきます。また強いかゆみの症状があれば、ステロイド系の外用薬や抗アレルギー薬の内服薬が用いられます。このほか症状が重いという場合は、ステロイド薬の内服となります。

じんましん(蕁麻疹)とは

じんましんは何の前触れもなく、肌の一部が突然赤く腫れあがります(形状は、円形、楕円形、地図状など様々、かゆみの症状もみられる)が、発症から24時間以内に何事もなかったかのように消失するのが特徴です。頭頂部からつま先まで、どの部位でも発症する可能性はあります。

原因については、アレルギー(食物、薬剤 など)、日光や発汗、温熱などをきっかけに発症するなど特定できることもあります(刺激誘発型じんましん)が、全じんましん患者様の7割程度の方は原因不明とされる特発性じんましんです。ちなみにじんましんと単に呼ぶ場合、特発性じんましんのみを意味していることもあります。また特発性じんましんは急性と慢性に分けられ、急性は発症から6週間以内で症状が治まる場合で、慢性は6週間以上じんましんの発症が続いている場合を言います。

治療に関してですが、まずアレルギーテストなどをして、じんましんの原因を特定させます。原因が判明した場合(刺激誘発型じんましん)は、原因とされるものの除去や回避のための環境整備をしていきます。また特発性じんましんの患者様は、抗ヒスタミン薬の内服薬を用います(刺激誘発型じんましんの患者様は、症状が出たときに使用)。抗ヒスタミン薬で効果がないという場合は、ステロイド内服薬や免疫抑制薬などが使われます。

日焼けと紫外線とは

日焼けは、紫外線(UV)が皮膚に当たることで引き起こされる炎症反応や色素沈着のことを指します。紫外線は太陽光に含まれる目に見えない光で、波長の長さによってUV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分類されます。このうち、地表に到達するのは主にUV-AとUV-Bで、日焼けに関与しています。

●紫外線の影響
UV-Aは波長が長く、皮膚の奥深くまで届きます。これによりシワやたるみの原因となる「光老化」を引き起こします。一方、UV-Bはエネルギーが強く、表皮にダメージを与えて赤く炎症を起こす日焼け(サンバーン)の原因となります。長期的な紫外線の影響は、皮膚がんや色素沈着(シミ、そばかす)のリスクを高めるとされています。

●日焼けの症状と対策
日焼けは軽度のものでは赤みやヒリヒリ感、重症の場合は水疱や強い痛みが生じます。これを防ぐためには、日焼け止めの使用、帽子や衣類での遮光、日差しの強い時間帯の外出を控えることが重要です。日焼け後は、冷却や保湿で皮膚をケアし、炎症がひどい場合は医師の診察を受けましょう。

紫外線は適度に浴びるとビタミンDの生成を助けますが、過剰に浴びると有害です。適切な対策で肌を守り、健康的な生活を心がけましょう。

水虫・たむし(足白癬・股部白癬)とは

カビの一種とされる白癬菌が主に足の皮膚に入り込むことで様々な皮膚症状が起きている状態を足白癬と言いますが、一般的にはこれを水虫と言います。なお白癬菌は、手や体、股の部分などにも感染し、発症することもあります。この場合、それぞれ、手白癬、体部白癬、股部白癬(いんきんたむし)と診断され、各々の治療が行われるようになります。

足白癬(水虫)については、主に3つのタイプ(趾間型、小水疱型、角質増殖型)に分類されます。趾間型は、足の指の間に発生する水虫で、患部に紅斑や水疱、皮がボロボロ剥けるなどの皮膚症状があるほか、かゆみもみられます。小水疱型は、小さな水疱などが足指の付け根、土踏まず、足の外側の部分等に多発し、これらが潰れるなどすると、やがて皮が剥けてカサカサした状態になります。この場合、水疱が発生すると同時くらいに強いかゆみの症状がみられます。最後の角質増殖型は極めて稀なケースで、足底の全ての部分で角質層が肥厚化している状態で鱗屑(皮がボロボロと剥け、皮膚はカサカサしている)もみられますが、かゆみや痛みなどの症状はありません。ただ、踵の部分に亀裂が入るなどすると痛みが出ることがあります。このほか、足白癬が足の爪の方まで感染すると爪白癬を併発することもあります。

感染経路については、不特定多数の方との足ふきマットやサンダルの使い回し、タオルなどの共有などが挙げられます。ちなみに足白癬は足の皮膚に白癬菌が付着したとしても24時間以内に洗い落とすことができれば感染しません。ただ足の裏に傷があるなどすれば、その半分程度の時間で感染するようになります。

患者様の症状や訴えなどから足白癬が疑われると、足の角質層の一部を採取し、それを顕微鏡で調べ、白癬菌の有無を確認していきます。治療が必要という場合は、主に抗真菌薬の外用薬を使用していくことになります。ただ角質増殖型では、薬が浸透しにくいので、抗真菌薬の内服となります。

爪水虫(爪白癬)とは

爪水虫(爪白癬)は、白癬菌というカビの一種が爪に感染して起こる病気です。主に足の爪に発症しますが、手の爪に感染することもあります。感染した爪は白く濁ったり、黄色や茶色に変色したり、厚くなったりします。さらに、爪がもろくなるため、欠けたり割れたりすることが特徴的です。また、爪の下に角質がたまることで爪が浮き上がる場合もあります。

●感染経路とリスク
爪水虫は、公共の浴場やプール、ジムのシャワールームなど、湿気の多い環境で感染しやすくなります。また、足の爪が蒸れやすい靴を長時間履く習慣や、家族に爪水虫の患者がいる場合も感染リスクが高まります。高齢者や糖尿病、免疫力が低下している方は特に注意が必要です。

●治療と予防
治療は抗真菌薬を使用します。外用薬や飲み薬がありますが、爪の奥深くまで感染している場合は飲み薬が効果的です。治療期間は数か月から半年以上かかることもあります。予防のためには、足を清潔で乾燥した状態に保つこと、共用スペースでは裸足を避けることが重要です。

爪水虫は放置すると悪化するため、早めの診察と治療を心がけましょう。

しもやけとは

しもやけ(凍瘡〈とうそう〉)は、寒冷な環境にさらされることで皮膚の血流が悪化し、炎症や腫れが生じる状態を指します。特に冬場の気温が低い時期に発症しやすく、手足の指、耳、鼻など末端部位に多く見られます。成人よりも血流調節が未熟な子どもや、高齢者に多いのが特徴です。

●症状
しもやけの初期症状として、患部が赤紫色に腫れ、かゆみや痛みを伴うことがあります。重症の場合、皮膚がひび割れたり、水疱ができることもあります。また、寒暖差が大きい環境では、血流が急激に変化し、症状が悪化する場合があります。症状は寒冷な環境が続くと長引きますが、暖かい環境に戻ると数週間で自然に治ることも多いです。

●原因
主な原因は、寒冷による血管の収縮と拡張の繰り返しで血流が滞ることです。また、長時間濡れた状態や締め付けの強い衣類・靴なども発症リスクを高めます。

●治療と予防
軽症の場合、患部を温めたり、血行を良くするマッサージが効果的です。重症の場合は医師による治療が必要で、血流改善のための内服薬や外用薬が処方されます。予防には、防寒具の着用、濡れた手足の早急な乾燥、締め付けの少ない靴や手袋の使用が有効です。

しもやけは日常生活で大きな不快感を引き起こすため、早めの対策が重要です。

やけど(熱傷)とは

一般的にやけどと呼ばれるケガは、医学用語では熱傷と言われています。これは高温のもの(熱湯 など)に一定時間触れてしまうことで、皮膚や粘膜が損傷を受けている状態を言います。なお低温のもの(44~50℃)であっても長時間触れ続ければ、熱傷の症状がみられるようになります。これを低温やけどと言います。やけどは、症状の程度(Ⅰ~Ⅲ度)によって分類され、治療法もそれに合わせて異なります。

Ⅰ度は軽度のやけどのことで、表皮の範囲のみ熱傷がみられている状態です。皮膚の表面は赤く、ヒリヒリした痛みなどがみられます。またⅡ度熱傷は、真皮の層まで熱傷が及んでいる状態で、比較的浅い場合を浅達性Ⅱ度熱傷、皮下組織の近くまで傷害されている場合を深達性Ⅱ度熱傷とさらに分類されます。この場合、どちらも皮膚にただれや水疱がみられますが、浅達性は水疱の底が赤く、深達性は水疱の底は白くなっていて、瘢痕化しやすいと言われています。さらにⅢ度熱傷は皮下組織にまで熱傷の症状が及び、乾燥した硬い壊死組織がみられるほか、神経まで損傷を受けているので痛みを感じることもありません。

やけどをしてしまった場合、まずその部位を速やかに水で冷やすようにしてください。範囲や程度、場所、年齢などによって異なることもありますが、30分程度は冷やしていきます。

また治療内容についてですが、Ⅰ度熱傷の場合は、主にステロイド系の外用薬を使用していきます。Ⅱ度熱傷では、損傷部位を感染予防のために洗浄し、ワセリンなど軟膏による治療を行っていきます。Ⅲ度熱傷の場合は、壊死組織を取り除き、植皮手術をするなどします。

青あざ(太田母斑や異所性蒙古斑など)とは

太田母斑は、どちらか片側の目の周囲や頬(三叉神経第一枝もしくは第二枝の領域)を中心に発生する青もしくは褐色のあざ(母斑)や斑点のことを言います。黄色人種の女性(男性の4~5倍)にみられやすいとされ、生後間もなく発症することもあれば、思春期前後、あるいは成人(主に妊娠・出産期)になってから発症することもあります。原因としては、メラニン色素の異常によって起きるとされていますが、詳細に関してはわかっていません。

主な症状ですが、見た目以外で何か問題が起きるということはありません。ただ自然に消えるということはないので、見た目が気になる場合は治療ということになります。この場合もQスイッチ付きルビーレーザーやQスイッチ付きアレキサンドライトレーザーといったレーザー療法となります。ただ1回の施術で解消するということはないので、一定の間隔でレーザー治療を受けに通院する必要があります。

茶あざとは

薄い茶色の真っ平な色素斑(大きさは数mm~数cm程度)が頬など顔の部位にみられ、生後1歳くらいまでに発生すると言われていますが、思春期になってから現れるケースもあります。これは、表皮の部分にメラニン色素が多くなることで茶色(カフェオレ色)に見えるようになると言われています。放置のままでは自然に消えることはなく、斑の数は多くとも4個程度と言われ、多発している場合は神経線維腫症1型が疑われます。

悪性化することはないので放置でもかまいません。ただ多くの場合、見た目を気にして治療をするようになります。その場合、レーザー療法としてQスイッチ付きルビーレーザーなどを用いますが、1回ですべてが消えるわけではないので、何回か通院することになります。また、しばらくすると再発するということもあります。

しらみ症は、寄生虫のしらみが頭皮や体毛、衣類に寄生し、吸血することでかゆみや皮膚炎を引き起こす疾患です。主に頭しらみ、体しらみ、毛しらみの3種類が存在し、それぞれ感染部位や感染経路が異なります。頭しらみは主に子どもに多く、体しらみや毛しらみは集団生活や衛生環境が悪い状況で発生しやすい傾向があります。

しらみ症とは

しらみ症は、寄生虫のしらみが頭皮や体毛、衣類に寄生し、吸血することでかゆみや皮膚炎を引き起こす疾患です。主に頭しらみ、体しらみ、毛しらみの3種類が存在し、それぞれ感染部位や感染経路が異なります。頭しらみは主に子どもに多く、体しらみや毛しらみは集団生活や衛生環境が悪い状況で発生しやすい傾向があります。

●症状
主な症状は激しいかゆみで、頭しらみでは頭皮や耳の周囲、体しらみでは衣類の密着する部分、毛しらみでは陰部などがかゆくなります。かゆみが強い場合、掻きむしりによる傷が感染症を引き起こすこともあります。また、しらみの卵(白っぽい粒)が髪の毛や衣類に付着しているのが確認できることがあります。

●感染経路
しらみは接触によって広がります。頭しらみは髪同士の接触、体しらみは衣類や寝具の共有、毛しらみは性行為や密接な接触が主な感染経路です。

●治療と予防
治療には、頭しらみ用の薬剤シャンプーやくしを使ってしらみや卵を取り除きます。体しらみや毛しらみの場合は、衣類や寝具を高温で洗浄・乾燥させることが重要です。感染を防ぐためには、清潔な生活環境を保ち、個人の衛生管理を徹底することが有効です。

しらみ症は早期に対処すれば改善しやすい疾患であり、症状がある場合は速やかに適切な治療を受けましょう。

赤あざとは

先天的な毛細血管の異常が原因とされ、血管腫という名前がついていますが、血管異常なので奇形に分類されます。生後間もない時期から現れ、境界が明瞭な平坦で赤色の斑がみられますが、自然に消えるということはありません。発症しやすい部位は頭頚部です。放置が続くと色調が濃くなっていき、成人になる頃には赤あざの部分が盛り上がることがあります。

治療をする場合は、血色素を対象としたレーザー療法(色素レーザー)を行っていきます。これは対象部位に同レーザーを照射していくもので、早ければ早いほど皮膚の回復が早くなるとは言われますが、あまりにも小さな頃から同治療を開始となると、全身麻酔が必要となるなど負担を強いることにもなりかねませんので、ある程度成長するまではカバーメイクをしていき、それなりの年齢に達してからレーザー療法をしていくという方も少なくありません。

黒あざとは

一般的にホクロと呼ばれるものは、正式には色素性母斑とか、母斑細胞母斑と言われるものです。生まれついてホクロがある先天性の色素性母斑で、直径1.5cm以上20cm以下であれば黒あざ(中型色素母斑)、直径20cm以上であれば巨大型色素性母斑と分類されます。

この場合、成長と共に大きくなっていくのですが、中型や巨大型の場合は悪性化すること(悪性黒色腫 など)がありますので、そのリスクが高いと判断されると外科的切除による手術療法が行われます。また、小型あるいは中型のケースで悪性化のリスクが低いとなれば、基本は放置でもかまいませんが、美容的な観点から除去したいという場合は、保険適用はされず全額自己負担となります。 なお治療内容については、炭酸ガスレーザーによる除去か、外科的切除になります。