小児脂漏性皮膚炎は、生後数週間から数か月の乳児に発生しやすい、皮脂腺の過剰分泌に伴う皮膚炎です。特に頭皮や顔、耳の周囲、首、体のシワ部分など、皮脂の分泌が盛んな部位に発症します。俗に「乳児湿疹」とも呼ばれることがありますが、その中でも脂漏性皮膚炎は比較的特徴的な症状を持っています。

●症状
主な症状は、黄色っぽいかさぶたや鱗状の皮膚、赤みを帯びた発疹です。頭皮では、厚い脂っぽいかさぶたが現れることが多く、眉毛や鼻の周り、耳の後ろにも鱗屑(フケのような皮膚片)が見られることがあります。かゆみは一般的には軽度で、乳児は特に気にする様子を見せないことが多いですが、まれに掻きむしることもあります。

●原因
小児脂漏性皮膚炎の原因は完全には解明されていませんが、ホルモンの影響による皮脂分泌の増加や、常在菌(マラセチア菌)が関与していると考えられています。また、乾燥や刺激によって症状が悪化することがあります。

●治療と予防
多くの場合、数週間から数か月で自然に治癒します。治療には、温かいタオルやベビーオイルで柔らかくした後に、かさぶたを優しく除去する方法や、保湿クリームを使用することが効果的です。重症例では、医師の処方による低濃度のステロイド外用薬や抗真菌薬を使用することもあります。

日々のスキンケアと適切な治療で、症状を和らげ、快適に過ごせるようにしましょう。