黒あざ

一般的にホクロと呼ばれるものは、正式には色素性母斑とか、母斑細胞母斑と言われるものです。生まれついてホクロがある先天性の色素性母斑で、直径1.5cm以上20cm以下であれば黒あざ(中型色素母斑)、直径20cm以上であれば巨大型色素性母斑と分類されます。

この場合、成長と共に大きくなっていくのですが、中型や巨大型の場合は悪性化すること(悪性黒色腫 など)がありますので、そのリスクが高いと判断されると外科的切除による手術療法が行われます。また、小型あるいは中型のケースで悪性化のリスクが低いとなれば、基本は放置でもかまいませんが、美容的な観点から除去したいという場合は、保険適用はされず全額自己負担となります。
なお治療内容については、炭酸ガスレーザーによる除去か、外科的切除になります。

青あざ

青あざとしては、太田母斑や異所性蒙古斑が挙げられます。
太田母斑は、三叉神経付近にみられる青あざのことで、目の周囲や頬、前額、側頭部のどちらか片側でみられます。生まれてすぐにみられることもあれば、思春期や成人になってから発症することがあります。

これは、メラニンの色素異常によって発生するとされていますが、原因については特定されていません。見た目としては、境界がはっきりせず、ひらべったい、青色をはじめとする赤や褐色の斑点が現れるようになります。女性に多く見受けられ、外見上以外で何か問題があるということはありません。ただ放っておいても、自然と消えるということもありません。したがって、どうしても見た目が気になるという場合に治療となります。この場合、主にレーザー治療などをしていきます(何回か通院していただく必要があります)。

また異所性蒙古斑ですが、そもそも蒙古斑とは、生まれてからすぐに確認することができる臀部や腰部にみられる青色の斑で、小学校に通う頃になると自然と消えていくと言われているものです。ちなみに黄色人種や黒人に多いとされる母斑になります。つまり異所性蒙古斑とは、お尻周囲の限定した蒙古斑ではなく、それ以外の部位(腕や背中など)でも出生時から認められる青色の母斑のことです。ただこの場合は、自然と消えないことも少なくありません。放置しても何ら問題はありませんが、見た目的なことで消したいということであれば治療となります。レーザー治療による施術となりますが、斑が消えるまで何度か通院していただくことになります。

茶あざ

茶あざに関しては、扁平母斑が挙げられます。
扁平母斑は、1歳頃までに発生することが多く、健常者でも1割程度の方にみられると言われています。これは真っ平で色調が統一された境界がはっきりした褐色の母斑で、手のひらや足の裏以外の部位で発症する可能性はあると言われています。形は円形や楕円形のほか、形が整っていない斑もあります。この場合、表皮の基底層からメラニンの増加が確認できるようになります。なお小児では、直径5mm以上で、多くの斑が確認できる場合は、神経線腫症1型のカフェ・オ・レ斑と診断されることもあるので、鑑別をしっかりする必要もあります。

放置でも体に悪影響が及ぶことはありません。そのため、治療はする場合は見た目を気にして行うということになります。内容については、主にレーザー治療で、複数回の照射が必要となりますので、通院することになります。なお、治療の効果については、人によって異なるほか、色調が元に戻ってしまうこともあります。

赤あざ

子どもによくみられる赤あざとしては、乳児血管腫(いちご状血管腫)や単純性血管腫が挙げられます。

乳児血管腫は、乳児期に発生する良性腫瘍で、未熟な毛細血管が増殖することで発生するというものです。生後数週間がピークとされ、発生部位は血管のある部位であればどこでも可能性は高いですが、顔面と腕(上肢)に起きやすいとされています。赤あざは丸みを感じる形で、直径にして1cm程度のものもあれば、10cm以上のものもありますし、単発の場合もあれば、複数、多数と発生することもあります。1歳をピークに色は時間をかけて薄くなっていき、小学校低学年までには自然と消えていくとされていますが、瘢痕が残ることが多いため、最近は積極的に治療が行われることが多いです。治療をする場合は、できるだけ早期のうちに薬物療法(β受容体遮断薬による内服)をしていくほか、色素レーザー治療などがあります。

単純性血管腫(毛細血管奇形)は、先天的な毛細血管形成異常によるもので、毛細血管の拡張によって、境界がはっきりした赤色の斑がみられます。主な発症部位は、頭頸部となります。なお血管は増殖しないので腫瘍ではなく、自然に消失することはないばかりか、年をとるにつれて色が濃くなる、肥厚化するなどすることがあります。治療をする場合は、色素レーザー治療となります。