ニキビとは

医学用語では尋常性挫創という皮膚疾患になります。これは脂腺性毛包と呼ばれる毛穴で発生する慢性の炎症疾患になります。脂腺は、思春期から成人にかけて大きく発達し、その際に皮脂が多く分泌するなどして、毛穴(脂腺性毛包)を塞ぐようになって面皰(めんぽう)を形成していきます。するとこの面皰を栄養源にして、皮膚の常在菌でもあるアクネ桿菌が増殖し、炎症が発症するようになります。ちなみにニキビが発症しやすい部位は、脂腺性毛包が集中しているとされる、顔、胸、背中です。また思春期を過ぎた後も、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスが乱れるといったことでニキビが発生することもあります。これはいわゆる大人のニキビと呼ばれるものです。

なお面皰があっても炎症が起きていない状態を白ニキビや黒ニキビ(白ニキビの毛穴が開いている状態)と言い、炎症を起こしている状態を赤ニキビ、これがさらに悪化し膿の塊もみられている状態を黄ニキビと呼ぶこともあります。ちなみに黄ニキビの状態で、適切な治療をしないと炎症が治まった後にクレーターのような凸凹した痕が残るようになります。これを瘢痕と言いますが、このような状態になると治していくことが困難となりますので要注意です。

治療についてですが、炎症(赤ニキビ)や膿(黄ニキビ)がある場合は、抗菌薬の外用薬を使用していきます。症状がひどい場合は、抗菌薬の内服薬を用いるようにします。また発症しないための予防対策も大事で、普段から規則正しい生活に努める、1日2回程度の洗顔をする(過度にはしない)などのケアも怠らないようにしてください。

じんましんとは

じんましんは何の前触れもなく、肌の一部が突然赤く腫れあがります(形状は、円形、楕円形、地図状など様々、かゆみの症状もみられる)が、発症から24時間以内に何事もなかったかのように消失するのが特徴です。頭頂部からつま先まで、どの部位でも発症する可能性はあります。

原因については、アレルギー(食物、薬剤 など)、日光や発汗、温熱などをきっかけに発症するなど特定できることもあります(刺激誘発型じんましん)が、全じんましん患者様の7割程度の方は原因不明とされる特発性じんましんです。ちなみにじんましんと単に呼ぶ場合、特発性じんましんのみを意味していることもあります。また特発性じんましんは急性と慢性に分けられ、急性は発症から6週間以内で症状が治まる場合で、慢性は6週間以上じんましんの発症が続いている場合を言います。

治療に関してですが、まずアレルギーテストなどをして、じんましんの原因を特定させます。原因が判明した場合(刺激誘発型じんましん)は、原因とされるものの除去や回避のための環境整備をしていきます。また特発性じんましんの患者様は、抗ヒスタミン薬の内服薬を用います(刺激誘発型じんましんの患者様は、症状が出たときに使用)。抗ヒスタミン薬で効果がないという場合は、ステロイド内服薬や免疫抑制薬などが使われます。

円形脱毛症とは

毛器官の疾患(AGA、抜毛症 など)のひとつで、何の前触れもなく境界がはっきりした円形(コイン状)の脱毛斑が現れる状態を円形脱毛症と言います。脱毛斑の数については単発もあれば、多発することもあります。大きさについては様々です。このほか、全ての頭髪が抜ける(前頭脱毛症)、頭髪だけでなく全身の毛が抜ける(汎発性脱毛症)、側頭部から後頭部にかけて帯状に脱毛する蛇行性脱毛症も円形脱毛症の種類になります。

発症の原因については、自己免疫疾患やストレスが関係しているのではないかと言われていますが、完全には解明されていません。

治療に関してですが、単発型や脱毛斑が2、3ヵ所程度で範囲が狭い場合は自然と治癒するのを待ちます(2~3ヵ月程度)。なお脱毛範囲が広い場合に治療をすることになりますが、その際はステロイド、ミノキシジル、カルプロニウム塩化物などの外用薬を使用していきます。上記の治療では改善が難しいという場合は、ステロイドの局所注射、光線療法(PUVA)、内服薬(ステロイド、免疫抑制薬 等)などを用いることもあります。

白斑とは

表皮の中に含まれるメラニン顆粒は皮膚の一番底にあるメラノサイトという細胞でつくられます。ところが、この細胞が何らかの理由でうまく機能しなくなると、メラニンの産生が極度に低下あるいは消失し、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまいます。このような状態が尋常性白斑です。日本人の罹患率は1~2%程度であり、特に20代の発症が多いと言われていますが、実際には各年代で見られます。原因は、はっきりとは解明されていませんが、自己免疫によってメラニンが破壊されるために発症すると考える説などがあります。

治療に関してですが、ステロイド薬やビタミンD3製剤、タクロリムスの外用療法、紫外線療法などを組み合わせて治療します。

アトピー性皮膚炎とは

強いかゆみが伴う湿疹(ジュクジュク、カサカサ など)が体中にみられる皮膚疾患になります。早ければ生後2ヵ月程度で発症し、顔や首、肘や膝の屈曲部などに左右対称で症状がみられるようになります。これが良くなったり悪くなったりを繰り返し、慢性的に経過するというのが特徴です。なお、あまりのかゆみに耐えきれずに爪を立てるなどすれば、とびひを併発するなど、さらに皮膚症状を悪化させることもあります。

同疾患は乳幼児によくみられ、これまでは成長と共に症状は改善していくと言われていましたが、最近は成人になっても症状が続く、あるいは成人を過ぎてから発症するというケースもみられるようになりました。

発症の原因は特定されていませんが、アレルギー疾患を発症しやすい体質(アトピー素因)、あるいは皮膚バリア機能の低下に加え、アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因物質)やストレス・過労、引っかき傷などによって症状を悪化させているのではないかと言われています。

このアトピー性皮膚炎は、発症時期によって症状が変わっていきます。乳児期(1歳未満)では、かゆみと湿り気のある赤い湿疹がみられ、頭部や顔面を中心に肘や膝の屈曲部などで発症がみられます。幼児期(1歳以上)になると顔面の症状は減少するものの、首回り、肘、膝の内側にかゆみが伴うカサカサした湿疹が現れるようになります。また思春期以降では、顔面や頸部をはじめ上半身を中心に湿疹の症状がみられていきます。この場合の湿疹も乾燥したカサカサの状態になっています。

皮膚の炎症を抑える治療としては、ステロイドの外用薬やタクロリムス軟膏を使用していきます。また強いかゆみの症状を訴えられている場合は、抗ヒスタミンの内服薬を使用します。このほかスキンケアとして、皮膚を常に清潔にする、保湿剤を塗布して乾燥から肌を守るなどの対策もとるようにしてください。

水虫(足、爪)・たむしとは

カビの一種とされる白癬菌が主に足の皮膚に入り込むことで様々な皮膚症状が起きている状態を足白癬と言いますが、一般的にはこれを水虫と言います。なお白癬菌は、手や体、股の部分などにも感染し、発症することもあります。この場合、それぞれ、手白癬、体部白癬、股部白癬(いんきんたむし)と診断され、各々の治療が行われるようになります。

足白癬(水虫)については、主に3つのタイプ(趾間型、小水疱型、角質増殖型)に分類されます。趾間型は、足の指の間に発生する水虫で、患部に紅斑や水疱、皮がボロボロ剥けるなどの皮膚症状があるほか、かゆみもみられます。小水疱型は、小さな水疱などが足指の付け根、土踏まず、足の外側の部分等に多発し、これらが潰れるなどすると、やがて皮が剥けてカサカサした状態になります。この場合、水疱が発生すると同時くらいに強いかゆみの症状がみられます。最後の角質増殖型は極めて稀なケースで、足底の全ての部分で角質層が肥厚化している状態で鱗屑(皮がボロボロと剥け、皮膚はカサカサしている)もみられますが、かゆみや痛みなどの症状はありません。ただ、踵の部分に亀裂が入るなどすると痛みが出ることがあります。このほか、足白癬が足の爪の方まで感染すると爪白癬を併発することもあります。

感染経路については、不特定多数の方との足ふきマットやサンダルの使い回し、タオルなどの共有などが挙げられます。ちなみに足白癬は足の皮膚に白癬菌が付着したとしても24時間以内に洗い落とすことができれば感染しません。ただ足の裏に傷があるなどすれば、その半分程度の時間で感染するようになります。

患者様の症状や訴えなどから足白癬が疑われると、足の角質層の一部を採取し、それを顕微鏡で調べ、白癬菌の有無を確認していきます。治療が必要という場合は、主に抗真菌薬の外用薬を使用していくことになります。ただ角質増殖型では、薬が浸透しにくいので、抗真菌薬の内服となります。

イボとは

一口にイボと言いましても様々な種類があるわけですが、一般的には目で確認するのが困難なくらいの皮膚にできた小さな傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入し、感染することで発生する尋常性疣贅(ウイルス性疣贅)を意味することが多いです。この場合、世代に関係なく発症しますが、なかでも子どもが発症しやすいと言われています。好発しやすい部位は、手足とされていますが、傷になりやすい部位(肘、膝、顔面、手指 など)でも起きやすくなります。単体の場合もあれば、複数個発生することもあります。

このイボというのは、直径1cm未満の場合が多く、自覚症状はありません。形状は円形が多いですが、それ以外も少なくないです。色については、灰黒色、茶褐色、明るい灰色など様々で、表面はザラザラした感触があります。またどうしても見た目が気になるので、イボを自らの手で除去したいと患部をいじるなどすれば、ウイルスを巻き散らして、イボを増やしてしまうこともあります。そのため処置したいのであれば、必ず皮膚科をご受診されるようにしてください。

イボは、そのまま放置でも命に影響することはありませんが、ウイルス性であれば、増やしてしまう可能性もあるので、除去による治療を行うことが多いです。この場合、最も一般的なのが液体窒素を用いた凍結療法です。マイナス196度の液体窒素をイボに押し当てるので、治療中や治療後に痛みを感じることがあります。この場合、1度の治療で切除できることはないので、1~2週間に1回の間隔で数ヵ月程度は通院することになります。このほか、ヨクイニンなど漢方薬を使用する薬物療法、炭酸ガスレーザーや執刀による切除(手術療法)が行われることもあります。

酒さ・酒さ様皮膚炎とは

主に中高年世代に発症するとされ、顔面とくに眉間、鼻の周囲、頬といった部位を中心に赤くなる、小さい吹き出物がみられるなどします。これは、慢性的な炎症疾患によるものと言われますが、現時点で原因は特定できていません。ただ、紫外線の影響、ストレス、アルコールといったものが状態を悪化させるのではないかと言われています。

なお赤ら顔(酒さ)と一口に言いましても、発症の種類としては3つに分けられます。1つは紅斑性酒さと呼ばれるタイプで、鼻や頬の周囲に発赤、かゆみなどの症状がみられるほか、毛細血管の拡張、脂漏やフケなども現れます。飲酒や寒暖差によって、さらに症状が悪化することもあります。次は、酒さ性座瘡というタイプで、ニキビのような症状(赤くなっている丘疹、膿疱 など)が顔全体にみられている状態です。3つ目は鼻瘤というもので、これは鼻が赤くなっているほか、丘疹が集まって鼻頭周囲に表面が凸凹している皮がズル剥け状態の腫瘤が確認できます。このほかにも角膜炎や結膜炎などの眼症状が併発していることもあります。

治療については主に薬物療法が基本となります。具体的には、抗菌薬の内服や外用薬といったものです。また毛細血管の拡張や鼻瘤状態にあるという場合は、レーザー療法などを行います。このほか、血管を拡張させる刺激物(アルコール、カフェイン など)の摂取、ストレス、寒暖差の刺激といったことも避けるなど、生活習慣の見直しも大切です。

脂漏性皮膚炎・フケ症とは

皮脂腺が多いとされる頭部や顔面、腋の下といった部位で皮脂の分泌が過剰となってしまうことで発生する湿疹、鱗屑、痂疲などの症状がみられている状態を脂漏性皮膚炎と言います。主に生まれて間もない乳児と、思春期~40代くらいまでの世代にみられやすいと言われています。乳児の場合は、1歳になるまでには自然と治まるようになりますが、後者の場合は慢性的に繰り返されるようになります。

なお成人でみられる脂漏性皮膚炎は、清潔にしていてもフケのようなものが頭部などからパラパラ落ちるようになるほか、かゆみもみられるようになります。さらに頭皮の一部は赤くなるほか、硬くなっている部分もあります。原因については、皮膚の常在菌でもあるマラセチア菌が関係している、あるいは皮脂分泌機能の異常などが挙げられています。

治療をする場合ですが、乳児は自然と治癒していくものなので、これといった治療はしていきませんが、アトピー性皮膚炎が疑われる場合は、効き目の弱いステロイド外用薬を用いることがあります。一方、成人の脂漏性皮膚炎の患者様は、石鹸やシャンプーによる洗顔や洗髪で清潔に努め、必要であればステロイドの外用薬を用います。またマラセチア菌が関係していのなら、抗真菌薬の外用薬を使っていきます。

たこ・うおのめとは

たこもうおのめも物理的な刺激を慢性的に受け続けることで発生する非炎症性の角化症となります。うおのめについては、足底に発生することがほとんどですが、たこに関しては足底だけでなく、繰り返し物理的な刺激を受ける部位(足の甲やくるぶしにできる座りだこ、手の指にできるペンだこ など)でもみられるようになります。

どちらも物理的な刺激が繰り返されることで一部の角質層が肥厚化していくのですが、うおのめでは、その肥厚が真皮に向かっていき、その際に芯も形成されるようになります。この芯というのが、神経を圧迫するようになるので、発症部位が刺激を受けると圧痛が起きるようになります。このうおのめは、核とされる部分が魚や鶏の目によく似ていることから、うおのめや鶏眼と呼ばれるようになりました。発症の原因としては、サイズや幅の合わない靴を履いている、開帳足、歩行バランスが悪いといったことが挙げられます。

一方のたこは、表皮に向かって角質層の肥厚が進むタイプなので、痛みなどの自覚症状はみられません。ただ発症部位の感覚が鈍くなる、足底にできれば靴の中に何か挟まっている感じを受けるということはあります。発症の原因ですが、足に発生する場合は靴のサイズが合わない、歩行バランスがおかしい、足の骨の変形や異常がある等で起きるようになります。

治療に関してですが、うおのめもたこも、まず慢性的に物理的な刺激を受けないようにする環境を整えるようにします。具体的には、サイズの合った靴を履く、歩行バランスを正常にしていくといったことです。また肥厚化している角質層を除去していきます。この場合、肥厚化した角質層にスピール膏を貼付し、角質層を軟らかくしてからその部分を切除することが多いです。このほかにも、炭酸ガスレーザーや液体窒素を用いた凍結療法などによって切除することもあります。

熱傷(やけど)とは

一般的にやけどと呼ばれるケガは、医学用語では熱傷と言われています。これは高温のもの(熱湯 など)に一定時間触れてしまうことで、皮膚や粘膜が損傷を受けている状態を言います。なお低温のもの(44~50℃)であっても長時間触れ続ければ、熱傷の症状がみられるようになります。これを低温やけどと言います。やけどは、症状の程度(Ⅰ~Ⅲ度)によって分類され、治療法もそれに合わせて異なります。

Ⅰ度は軽度のやけどのことで、表皮の範囲のみ熱傷がみられている状態です。皮膚の表面は赤く、ヒリヒリした痛みなどがみられます。またⅡ度熱傷は、真皮の層まで熱傷が及んでいる状態で、比較的浅い場合を浅達性Ⅱ度熱傷、皮下組織の近くまで傷害されている場合を深達性Ⅱ度熱傷とさらに分類されます。この場合、どちらも皮膚にただれや水疱がみられますが、浅達性は水疱の底が赤く、深達性は水疱の底は白くなっていて、瘢痕化しやすいと言われています。さらにⅢ度熱傷は皮下組織にまで熱傷の症状が及び、乾燥した硬い壊死組織がみられるほか、神経まで損傷を受けているので痛みを感じることもありません。

やけどをしてしまった場合、まずその部位を速やかに水で冷やすようにしてください。範囲や程度、場所、年齢などによって異なることもありますが、30分程度は冷やしていきます。

また治療内容についてですが、Ⅰ度熱傷の場合は、主にステロイド系の外用薬を使用していきます。Ⅱ度熱傷では、損傷部位を感染予防のために洗浄し、ワセリンなど軟膏による治療を行っていきます。Ⅲ度熱傷の場合は、壊死組織を取り除き、植皮手術をするなどします。

湿疹・かぶれとは

湿疹

皮膚にかゆみの症状と様々な皮疹(赤み、ブツブツ、小さな水疱 など)がみられている状態を総称して湿疹と言います。この場合、いろいろな内的因子(アトピー素因、ストレス、皮膚バリア機能の低下 など)や外的因子(薬剤、食物、ハウスダスト など)が関係して起きると言われています。湿疹の原因としては、かぶれ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など特定できることもありますが、特定できない場合に湿疹と呼ばれることが多いです。

原因判明の有無に関わらず、強いかゆみの症状が出やすいので、爪を立てて患部を掻き壊すことも少なくありません。ただそれによって皮膚が化膿、悪化するなどして、さらに(皮疹の)症状を拡大させることもありますので注意が必要です。

治療についてですが、原因が特定されているのであれば、まずそれを取り除いていきます。皮膚症状に対する治療では、ステロイドの外用薬を使用していきます。また強いかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の内服薬を用いるなどします。

かぶれ

一般的にかぶれと呼ばれる皮膚症状のことを正式には接触皮膚炎と言います。発症メカニズムですが、これは何らかの原因物質が皮膚に触れることが原因となって発症する湿疹になります。主な症状は、かゆみ、皮膚の赤みや丘疹、水疱などです。かぶれの原因としては、植物(ウルシ、サクラソウ など)、金属製品(ニッケル、クロム など)、ゴム製品、樹脂、食物(銀杏、マンゴー など)のほか、おむつかぶれなどがあります。

患者様の症状などから接触皮膚炎が疑われると、かぶれの原因を特定するためのパッチテストを行っていきます。原因が特定した場合は、まずその原因物質をできるだけ避ける環境を整えるようにします。また、かぶれの症状を抑えるための治療としては、ステロイドの外用薬や抗ヒスタミン薬の内服(かゆみ止め)を使用していきます。

乾癬・掌蹠膿疱症とは

乾癬

乾癬とは、全身の皮膚に銀白色をした鱗屑とくっきりした紅斑がいくつも現れている皮膚疾患のことで、一部はフケのようにボロボロと落ちるようになるほか、人によってはかゆみがみられることもあります。慢性的な病気とされ、皮膚細胞の異常な増殖(皮膚のターンオーバーの周期が短い など)が関係していると言われますが、現時点で原因は完全に特定されてはいません。

なお一口に乾癬と言いましても、大きく5つのタイプ(尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節症)に分かれるのですが、日本人の全乾癬患者様の9割近くが尋常性乾癬と言われています。この場合、全身の至る部位で発生する可能性はありますが、その中でも、頭部、肘や膝の内側、臀部などで起きやすいと言われています。日本では有病率は0.1%前後(欧米は約3%)とされていますが、年々上昇傾向にあります。

治療方法に関しては様々ありますが、患者様の症状の程度によって、使い分けていきます。内容としては、主にビタミンD3やステロイド系の外用薬、紫外線療法(PUVA、NA-UVB)、内服薬(レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサート など)が用いられます。また上記の治療法では、改善が困難、内服薬を使うと副作用がみられるという場合は、生物学的製剤(TNF-α阻害薬 など)による注射療法が行われます。

掌蹠膿疱症

左右の手のひらや足の裏に小さな水疱が多発したかと思えば、それが間もなく膿疱化してしまうのが掌蹠膿疱症です。また周囲には湿疹がみられるようにもなるのですが、かゆみの症状がみられることもあります。膿疱については、その後は痂疲化するなどして軽快していきますが、この症状を慢性的に繰り返すのも同疾患の特徴です。

発症の原因については、扁桃腺、歯、鼻といった外部と接触しやすい部位に慢性の感染症がみられる、あるいは金属アレルギーのある方、喫煙者も発症するリスクがあると言われています。

同疾患は症状が特徴的なので、その経過などから診断がつけられることもありますが、似たような症状がみられる病気(水虫 など)もあるので、病変の一部を採取して、顕微鏡で詳細を調べる皮膚生検を行うこともあります。

治療に関してですが、扁桃腺による感染症や喫煙、金属アレルギーなど原因が特定しているのであれば、扁桃の摘出、禁煙、歯科金属を取り除くなどを行っていきます。また皮膚症状を抑える治療では、ステロイドや活性型ビタミンD3の外用薬による薬物療法、光線療法(PUVA、NB-UVB)などをしていきます。

黒あざ・青あざとは

黒あざ

一般的にホクロと呼ばれるものは、正式には色素性母斑とか、母斑細胞母斑と言われるものです。生まれついてホクロがある先天性の色素性母斑で、直径1.5cm以上20cm以下であれば黒あざ(中型色素母斑)、直径20cm以上であれば巨大型色素性母斑と分類されます。

この場合、成長と共に大きくなっていくのですが、中型や巨大型の場合は悪性化すること(悪性黒色腫 など)がありますので、そのリスクが高いと判断されると外科的切除による手術療法が行われます。また、小型あるいは中型のケースで悪性化のリスクが低いとなれば、基本は放置でもかまいませんが、美容的な観点から除去したいという場合は、保険適用はされず全額自己負担となります。 なお治療内容については、炭酸ガスレーザーによる除去か、外科的切除になります。

青あざ

太田母斑は、どちらか片側の目の周囲や頬(三叉神経第一枝もしくは第二枝の領域)を中心に発生する青もしくは褐色のあざ(母斑)や斑点のことを言います。黄色人種の女性(男性の4~5倍)にみられやすいとされ、生後間もなく発症することもあれば、思春期前後、あるいは成人(主に妊娠・出産期)になってから発症することもあります。原因としては、メラニン色素の異常によって起きるとされていますが、詳細に関してはわかっていません。

主な症状ですが、見た目以外で何か問題が起きるということはありません。ただ自然に消えるということはないので、見た目が気になる場合は治療ということになります。この場合もQスイッチ付きルビーレーザーやQスイッチ付きアレキサンドライトレーザーといったレーザー療法となります。ただ1回の施術で解消するということはないので、一定の間隔でレーザー治療を受けに通院する必要があります。

茶あざ・赤あざとは

茶あざ

薄い茶色の真っ平な色素斑(大きさは数mm~数cm程度)が頬など顔の部位にみられ、生後1歳くらいまでに発生すると言われていますが、思春期になってから現れるケースもあります。これは、表皮の部分にメラニン色素が多くなることで茶色(カフェオレ色)に見えるようになると言われています。放置のままでは自然に消えることはなく、斑の数は多くとも4個程度と言われ、多発している場合は神経線維腫症1型が疑われます。

悪性化することはないので放置でもかまいません。ただ多くの場合、見た目を気にして治療をするようになります。その場合、レーザー療法としてQスイッチ付きルビーレーザーなどを用いますが、1回ですべてが消えるわけではないので、何回か通院することになります。また、しばらくすると再発するということもあります。

赤あざ

先天的な毛細血管の異常が原因とされ、血管腫という名前がついていますが、血管異常なので奇形に分類されます。生後間もない時期から現れ、境界が明瞭な平坦で赤色の斑がみられますが、自然に消えるということはありません。発症しやすい部位は頭頚部です。放置が続くと色調が濃くなっていき、成人になる頃には赤あざの部分が盛り上がることがあります。

治療をする場合は、血色素を対象としたレーザー療法(色素レーザー)を行っていきます。これは対象部位に同レーザーを照射していくもので、早ければ早いほど皮膚の回復が早くなるとは言われますが、あまりにも小さな頃から同治療を開始となると、全身麻酔が必要となるなど負担を強いることにもなりかねませんので、ある程度成長するまではカバーメイクをしていき、それなりの年齢に達してからレーザー療法をしていくという方も少なくありません。

紫外線治療(光線治療)とは

紫外線療法は、レーザー療法と同じ光線療法のひとつで保険適用の治療となります。同療法は、乾癬をはじめ、慢性的な皮膚疾患などの患者様に対して紫外線を照射していくというもので、単に紫外線と言いましてもUVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)などがあるわけですが、当院では波長が短く、表皮まで届くUVBを照射する、エキシマライト照射装置とナローバンドUVB照射装置を使用していきます。UVBは、免疫抑制作用が働きますので、アトピー性皮膚炎や慢性苔癬状粃糠疹といった皮膚疾患に有効とされています。

なおエキシマライトとナローバンドUVBの2つの装置の違いは、照射範囲の違いです。そのため、患者様の皮膚病変の範囲が広いという場合にナローバンドUVBを使用し、それほど広くなければエキシマライトという使い分けになります。つまり、適応疾患については同じで、以下のような皮膚疾患の治療の際に使用していきます。

乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛 など

利点や副作用について

エキシマライトやナローバンドUVBというのは、治療の際に遮光する必要がなく、治療時間が短いという特徴があります。またエキシマライトは、短時間で高用量の照射が可能で、ナローバンドUVBは、照射後の寛解期間が長いというメリットがあります。

副作用については軽度とされ、照射部位に赤みや火照り、日焼けなどの症状がみられることがあります。また長期的には紫外線を浴び続けることによる皮膚がん発症のリスクというのも挙げられています。

虫刺されとは

昆虫などの節足動物に含まれる毒物、あるいは咬まれる、触れるなどした際の分泌物によるアレルギー反応によって起きる様々な皮膚症状を総称して虫刺され(虫刺症)と言います。

一口に節足動物と言いましてもいろんな昆虫等がいるわけですが、主なものを挙げると、アブ、ハチ、蚊、マダニ、ノミ、疥癬虫、シラミ、毛虫といったもので、これらに刺される、咬まれるなどすることで、かゆみ、紅斑、腫れ、水疱、疼痛などの症状がみられるようになります。

なお虫刺されの中で、最も気をつけなければならないのは、ハチ(スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ など)に刺された場合です。発赤や強い痛みがみられるだけでなく、何度か刺されるとハチに含まれる毒成分に関するアレルギー反応というのがみられるようになります。これによってアナフィラキシーショックを起こし、生命に影響するということがあります。またマダニに刺されるとライム病というインフルエンザの様な症状(発熱、頭痛、関節痛、倦怠感 など)が現れ、さらに進行すると髄膜炎や顔面神経麻痺、心膜炎などがみられることもあります。

虫刺されによる皮膚症状の治療に関してですが、毒針が体内に入ったままの場合は、まずこれを除去するようにします。それほど症状が重くなければ、抗ヒスタミン薬の外用薬を使用していきます。また強いかゆみの症状があれば、ステロイド系の外用薬や抗アレルギー薬の内服薬が用いられます。このほか症状が重いという場合は、ステロイド薬の内服となります。

帯状疱疹とは

この病気は水ぼうそうに罹患したことがある方に発症します。水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで発症しますが、全身水ぶくれなどの皮膚症状が治まった後も同ウイルスは体外へ排出されることはなく、神経節に潜伏し続けます。その後、過労やストレス、加齢などによって体の免疫力が低下すると、このウイルスは活性化するようになります。その後間もなく、左右どちらか片側の神経支配領域に沿う形で、チクチクなどする神経痛、皮疹(紅斑、水ぶくれ、かさぶた化 など)といった症状がみられるようになります。これを帯状疱疹と言います。

なお皮膚症状については、3週間程度で治まるようになりますが、発症の際に痛みが強く出ていた、高齢になってから発症したとなると、この痛みが長く続くことがあります。ちなみに発症から3ヵ月以上続いていると帯状疱疹後神経痛と診断されます。この場合、痛みをとるための治療が必要になります。

治療に関してですが、発症原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスを抑制するための薬物療法として、抗ヘルペスウイルス薬を使用していきます。また皮膚症状や疼痛については、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、アセトアミノフェン、ステロイドの内服薬、神経ブロック注射などが用いられます。

このほか任意接種(全額自己負担)ではありますが、50歳以上の方であれば帯状疱疹ワクチンを接種することができます。同ワクチンを接種することで、帯状疱疹を発症しにくくなる、あるいは発症したとしても重症化するリスクが低減されるようになります。

ヘルペスとは

一口にヘルペスウイルスと言いましても様々な種類があるのですが、単純ヘルペスウイルスの1型(HSV‐1)もしくは2型(HSV-2)に感染し、発症している状態をヘルペスと言います。

HSV‐1は、主に接触感染によって感染するとされ、20代までに半数程度の人が感染するようになると言われています。一方のHSV‐2は、大半が性行為によって感染するようになります。どちらも感染後、2~10日程度の潜伏期間を経てから発症するようになります。主な症状ですが、HSV‐1ではヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性ひょうそ、Kaposi水痘様ヘルペス、性器ヘルペスがみられます。またHSV‐2は性器ヘルペス(外陰部に水疱や潰瘍)の症状が現れるようになります。

その後、症状は治まるようになりますが、2つのウイルスとも体外に排出されることはなく、神経節(HSV-1は三叉神経節、HSV-2は仙骨神経節)に潜伏するようになります。そして、体の免疫力が低下するようになると、これらウイルスは活性化するようになります。するとHSV‐1では主に口唇ヘルペス(唇の周辺などに紅斑や水疱が)などがみられ、HSV‐2であれば性器ヘルペスが再発するようになりますが、いずれも初感染時と比べると症状は軽いです。

治療をする場合、抗ヘルペス薬の内服が中心となります。ただ同薬物療法を用いてもこのウイルスを体内から排出することはできません。